ドガの彫刻にペンキを塗った環境活動家に実刑判決。第2次トランプ政権下で罰則強化へ

ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリードガの彫刻《Little Dancer Aged Fourteen》の展示ケースに塗料を塗った環境活動家に合衆国共謀罪の判決が下された。2025年3月に発令された大統領令によってトランプ政権は、美術品を標的とした抗議活動は取締を強化することを表明している。

このほど有罪判決が下されたティモシー・マーティン(写真左)。Photo: Ellie Silverman/The Washington Post via Getty Images
このほど有罪判決が下されたティモシー・マーティン(写真左)とジョアンナ・スミス。Photo: Ellie Silverman/The Washington Post via Getty Images

ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリーに展示されているエドガー・ドガの彫刻《Little Dancer Aged Fourteen》のケースと台座に塗料を塗りつけて抗議行動を行った2人の環境境活動家に、合衆国に対する共謀罪で有罪判決が下された。

環境保護団体「Declare Emergency」で活動するティモシー・マーティンとジョアンナ・スミスが2023年4月に実施したこの抗議活動によって、4000ドル(現在の為替で約59万円)以上の被害が及び、修復作業が行われている10日の間、ドガの彫刻が展示されていた部屋が閉鎖されたと米司法省は発表している。スミスは2023年12月に行われた裁判において、展示物に損害を及ぼしたとして罪を認めており、60日の実刑判決と24カ月の保護観察付き釈放、そして3000ドル(同約44万円)の罰金と4062ドル(同約60万円)の損害賠償が命じられた。

今回有罪の判決を受けたマーティンの量刑は8月22日に言い渡される予定だという。アメリカの日刊紙USAトゥデイの取材に応じたマーティンは、2年前に行われた抗議は気候変動で生じる危機へのメタファーであることを強調し、こう続けた。

「私たちがケースにペンキを塗っても、ドガの彫刻には傷が付かないよう保護されていました。しかし、世界中の子どもたちは、気候が変動しても守られることはないのです」

こうした美術品を標的とした抗議活動は、第2次トランプ政権が発足したことを受け、より厳格に取り締まられることになる。というのも、2025年3月に発令された「ワシントンD.C.の治安と美しさを保つための大統領令」によれば、公共物への落書きの除去や国立公園局が管理する公園や記念碑の維持管理といった美化活動が強化されるからだ。また、これらの法執行活動を行う部隊、「ワシントンD.C.の治安・景観維持部隊」も今後創設される見通しだ。(翻訳:編集部)

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