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「死ぬまで石油企業と闘う」──俳優ジェーン・フォンダがガゴシアンとチャリティイベントを開催

俳優のジェーン・フォンダガゴシアンとタッグを組み、カリフォルニア州の油井拡大を止めるためのチャリティイベントを開催中だ。前回のイベントでは、約21億円の資金調達に成功している。

ジェシー・ホーマー・フレンチ《Ghosts》(2012)Photo: ©︎Jessie Homer French/Courtesy of Gagosian

俳優であり活動家でもあるジェーン・フォンダが再びガゴシアンと手を結び、温室効果ガスを排出する石油掘削から現場付近に住む住民を守ることを目的とした、2回目のチャリティーイベントを開催する。このイベントでは、オークションと展覧会が開かれる。

フォンダは今年4月にも、ガゴシアンとクリスティーズとタッグを組み、2022年に署名されたカリフォルニア州法SB1137(州内の住宅地から約975メートル以内に新たな油井を建設することを禁止する法案)の撤廃を求めるレファレンダム(住民投票)に対抗するためのチャリティーイベントを開催している。ARTnews US版の取材に対し、フォンダは次のように語る。

「前回のチャリティオークションは、大成功に終わりました。長い年月をかけて行った抗議活動の末、多くの寄付金を募ることができたのです」

その言葉の通り、フォンダらは美術品の展示と豪華スターによるオープニングレセプションを含むこのチャリティーオークションを通じて、実に1400万ドル(約21億5000万円)以上の調達に成功。これを受けて、SB1137を改正するよう求めていた石油業界団体「California Independent Petroleum Association」は、6月下旬にレファレンダムから手を引くことを発表した。

「集まった寄付金の額を見て、石油企業は怖気付いたのでしょう」と、フォンダは振り返り、こう続ける。「とはいえ、業界は強行突破のための手段を模索しているはずなので、これからも戦い続けなければなりません。今回のイベントであげた収益は、大手石油企業が企んでいる汚染工作から近隣のコミュニティを守るために用いる予定です」

レファレンダムから業界団体を撤退させ、巨額の寄付金を集めたものの、フォンダは抗議活動を引き続き実施する意欲をみせている。

「私は死ぬまで石油企業と闘い続けるつもりです。こういった企業は、コロラド州やペンシルバニア州、ワシントン州など油井を全米に拡げようと企てています。彼らの計画をカリフォルニア州で止めることができなければ、他の地域ではより厳しい闘いが強いられるでしょう」

ナン・ゴールディン《Cupid and Psyche》(2010) Photo: ©︎Nan Goldin/Courtesy of Artist and Gagosian

フォンダが最初のチャリティーイベントを計画した際、彼女は自身の友人でアーティストのエド・ルシェに助言を求め、作品提供を依頼。4月に開催されたイベントでは、ルシェに加えてクリスティーナ・クオールズ、ジョーイ・テリル、チャールズ・ゲインズ、そしてジョナス・ウッドの作品も展示・出品された。

「それまでアートオークションを主催したことはありませんでした。大変さを知っていたら、やろうなんて思わなかったかもしれません」とフォンダは笑う。「でも、エドの助けがあったおかげで、折れずに続けることができました。もし彼に断られていたら、その時点で諦めていたかもしれません」

ビバリーヒルズのガゴシアンで8月30日まで開催される今回のイベントには、ジャッキー・アメスキータ、アンドレア・バウアーズ、シェパード・フェアリー、ナン・ゴールディン、ロニー・ホーン、ジェシー・ホーマー・フレンチ、アレックス・イスラエルをはじめとするアーティストの作品が展示される見通しだ。

ガゴシアンの創業者であるラリー・ガゴシアンは、声明で次のように語っている。

「4月の立ち上げイベントから、この活動を将来にわたって支援するための資金調達の展示会まで、私の地元カリフォルニア州に影響を与えるこの重要な問題について、ジェーンと協力できたことを光栄に思います。安全で健康的に暮らせるカリフォルニアを次の世代に残すために、アーティストたちが惜しみない支援をしてくれたことに心から感謝しています」

フォンダもこう続ける。

「私たちは、大手石油企業と闘い続けるために資金を集め続けなければなりません。彼らは潤沢な資金を保有しているので、厳しい闘いになるでしょう」(翻訳:編集部)

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