ガウディがカトリックの「聖人」へ第1歩。サグラダ・ファミリアなどで信仰を伝えた功績が認められる
バチカンの列聖大事典省は、サグラダ・ファミリア聖堂で知られるスペインの建築家、アントニ・ガウディ(1852-1926)を「尊者」として認定した。これは3段階ある「聖人」へのプロセスの第1段階となる。

スペインの建築家、アントニ・ガウディ(1852-1926)を「尊者」として認定したとバチカンの列聖大事典省が発表した。
4月14日、教皇フランシスコは教皇庁列聖省長官マルチェッロ・セメラーロ枢機卿と会談し、その席でガウディを「英雄的徳」があるとして尊者に認めた。尊者とは、正式に聖人として列聖されてはいないものの、ある程度の聖性(イエス・キリストに似た行いをすること)を達成したとバチカンが認める故人に与えられる称号だ。
これは「聖人」へのプロセスの第1段階にあたる。次に、ガウディの執り成しによる奇跡が調べられ、確認されると「福者」に、さらにもう1つの奇跡が確認されると最終的に「聖人」として列聖される。この過程には数十年を要することもあるが、聖人と認められると記念日が定められ、信徒はガウディの名によるミサを捧げることができるようになる。

ガウディは熱心なカトリック教徒であり、彼自身「建築を通して神に仕える」と語った通り、信仰は建築作品に大きな影響を与えた。1882年に着工し、現在も建設が続くサグラダ・ファミリア聖堂は、その集大成的な建築物だ。彼独自の有機的な曲線で形作られた同聖堂には、様々な場所にキリスト教に関係する人物や聖書の場面が描かれており、東側のファサードには壮大なキリスト降誕の場面の彫刻もある。その美しさはカトリック教徒のみならず世界中の人々を魅了し、毎年大勢の観光客が訪れている。
今回の尊者の認定は、1992年に設立されたガウディの支持者団体をはじめ、ガウディの列聖を求める人々の数十年にわたる努力の結果だ。アートネットが報じるところによると、この運動を支援するある女性は、ガウディへの祈りが奇跡的に網膜剥離と診断された片方の目に視力を取り戻したと主張している。また、サグラダ・ファミリアの畏敬の念を起こさせる規模と素晴らしさによって、カトリックへ改宗したという人もいる。(翻訳:編集部)
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