バンクシーがパリのテロ事件現場に描いた「悲しい少女」を盗んだ8人に有罪判決
バンクシーの作品を盗んだとして、フランスの裁判所で8人の男が6月23日に有罪判決を受けた。盗まれたのは、パリのバタクラン劇場の扉に描かれた「悲しい少女」と呼ばれる絵で、2015年の同時多発テロ事件の犠牲者を追悼するものだった。
ニュースサイトのザ・ナショナルが報じるところによると、窃盗団は2019年1月にバンクシーが作品を描いた扉の蝶番を切断し、10分足らずの間に持ち去ったという。捜査当局は20年6月に扉がイタリアのサントメーロの農家にあることを突き止め、その後まもなく主犯格の男も捕まっている。
2019年に窃盗を認めていた3人には実刑判決が下された。ただし、実際には服役せず、電子足輪が装着される。
首謀者とされる男には3年の刑が言い渡され、やはり電子足輪を装着することになった。この男は窃盗ではなく、盗品売買で有罪とされている。奇妙なことに、この男は数年前に宝くじに当たって億万長者になっていたという。
扉の運搬を手伝った3人は懲役10カ月の実刑判決を受け、盗品が一時的に隠されていたホテルを所有するイタリア人男性は、6カ月の営業免許停止処分になった。
ザ・ナショナルの報道によると、6月初めにバレリー・カディニャン検事は、窃盗団について次のように陳述している。
「追悼のシンボルである扉を破壊するつもりはなかったようだが、非常に高い価値があることを知って利益を得ようとした。自分たちが盗もうとするものに込められた意味などいっさいお構いなしの、ハゲタカのような行為だ」(翻訳:清水玲奈)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年6月27日に掲載されました。元記事はこちら。