戦死した人々の遺骨がペルーで大量出土。激闘を勝ち抜いた同胞による手厚い埋葬の痕跡も
ペルー南部にある遺跡から成人男女と子どもを含む24人の遺骨が発見された。出土した遺骨には戦闘による傷が付いていたことが判明し、この地域における戦闘の歴史や埋葬の方法などが解明されることに研究者たちは期待を寄せている。

ペルー南部のアティコ川渓谷で、成人男女と子どもを含む24人の遺骨が埋葬された集団墓地が発見された。これは、インカ文明よりも前に築かれたエル・クルアカ遺跡で実施された最新の発掘調査で明らかになったもので、この地域で起きた古代の戦争についての新たな知見を提供している。
これらの遺骨は、1000〜1450年頃までアティコ川流域で暮らしていたチュキバンバ族のもので、戦闘による傷が確認されている。この発掘調査を率いたポーランドのヴロツワフ大学考古学研究所のジョセフ・シクルスキはCBSの取材に対し、「遺骨の傷は、この地域での激闘の末、人々が命を落としたことを示しています」と語っている。

チュキバンバ族に関しては、この民族における最も重要な遺物の一つとされるアティコ川流域にある洞窟壁画を除いて、ほとんど知られていない。今回エル・クルアカで墓地が発見されたことにより、彼らの埋葬習慣や社会構造に関する貴重な知見が得られることになる。
集団墓地からは遺骨以外にも、骨や石でできた道具、陶器、トウモロコシの穂軸、そして衣服といった副葬品も出土した。このことからシクルスキは、これら遺骨は戦闘で命を落とした人々のものであり、戦いに勝利した生存者たちが無残に殺されてしまった同胞を手厚く埋葬したと考察している。
研究チームは4月末までアティコ川渓谷で発掘調査を続ける予定で、その後、出土した遺骨の3Dスキャンを実施する。さらに、エル・クルアカに埋葬された人々の遺伝関係や起源を解明するための古代DNA解析と副葬品の分析も並行して進めるほか、遺骨がまとっていた衣類の保存作業も行うという。