チャールズ国王とカミラ王妃が肖像画を公開。「幸いなことに、真っ赤な絵ではない」と人々の評判は上々

5月6日、イギリス王室はチャールズ国王とカミラ王妃の公式肖像画をロンドン・ナショナル・ギャラリーで公開した。これは、2023年に行われた戴冠式を記念し描かれたものだ。

それぞれの肖像画を背に立つチャールズ国王とカミラ王妃。Photo: CHRIS JACKSON/POOL/AFP via Getty Images

イギリス王室は5月6日、2023年に行われた戴冠式を記念し制作されたチャールズ国王とカミラ王妃の公式肖像画を公開した。

チャールズ国王の肖像画は、チャールズと長年親交を持つピーター・クーフェルドが担当した。赤を基調とした荘厳な雰囲気の部屋で戴冠式の衣装を身にまとったチャールズの姿と、その傍らには窓から差し込む光で輝く王冠が描かれている。6日に発表された声明の中でクーフェルドは、今回の肖像画は「完成まで1年半以上かかった」と振り返りつつ、同作を通して「人間的でありながらも威厳を持つ王を表現しながらも、王室の肖像画の伝統を継承したものにしたかった」と述べた。

一方、ポール・ベニーによるカミラ王妃の肖像画は落ち着いた青緑色の背景で、白い戴冠式用ドレスを着たカミラが王冠とローブの横に立つ姿が緻密に描写されている。ニューヨークタイムスによると、ベニーはロンドンにあるクラレンス・ハウスで複数回カミラにモデルを務めてもらい、ロンドン塔に保存されている戴冠式用の王冠をセキュリティガードの監視の下で詳細にスケッチしたという。声明でベニーは「戴冠式の壮大で歴史的な性質を表す」とともに、カミラ王妃の「人間性と共感」を表現したかったと明かした。

イギリス王室の伝統である戴冠式の肖像画は、王や王女の節目を記録するだけではなく、その権力を国内外に知らしめる性質を持つ。歴代の絵画は王室コレクションが管理しており、最も古いものは1620年頃のジェームズ6世の肖像画だ。だが1953年のエリザベス2世即位時には描かれなかった。

昨年、ジョナサン・ヨーによるチャールズ国王の初めての公式肖像画が公開されたが、真っ赤な背景にチャールズが溶け込むように描かれており、SNSでは「血の入浴」「冥界への入り口」などの批判が相次いだ。その後肖像画は動物愛護団体の抗議行動の標的として狙われるトラブルにも見舞われた。

今回は初の夫婦揃っての肖像画発表ということもあり、2人の過去の経緯を知る人々からはネガティブな意見が飛び交っている。だが肖像画の出来についての評判は上々なようだ。SNSでは「幸いなことに、最初の作品のような真っ赤な絵ではない」、「美しい作品だと思う」といった意見が見られた。2点の肖像画は、現在ロンドン・ナショナル・ギャラリーで展示中だ。(翻訳:編集部)

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