今週末に見たいアートイベントTOP5: 嶋田美子ら3作家が考える「日本女性の解放」、人気番組「デザインあ」の展覧会第3弾
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. 開館30周年記念展「写真の冒険 前衛から未来へ」(清里フォトアートミュージアム)
巨匠から現在の若手まで25人の「若き日の冒険」に焦点
同館の開館30周年記念展として、1万点におよぶコレクションの中から「25人が35歳以下の時に撮影した作品」を厳選し、前後期で開催する。その前期となる本展は、写真という新しい技術や視覚を用いた「冒険」をテーマにする。
世界初の抽象写真とされるアルヴィン・ラングドン・コバーンの「ヴォートグラフ」から、シュルレアリスム、SF写真、コラージュ、多重露光、チェルノブイリ事故で放射線に被爆したフィルムで撮影された写真まで、約130点を展示する。作家は、細江英公、今道子、アルヴィン・ラングドン・コバーン、Ryu Ikaなど。
開館30周年記念展「写真の冒険 前衛から未来へ」
会期:3月20日(木祝)~6月15日(日)
場所:清里フォトアートミュージアム(山梨県北杜市高根町清里3545-1222)
時間:10:00~17:00(入場は30分前まで)
休館日:火曜
2. デザインあ展 neo(TOKYO NODE GALLERY)
身体を使って楽しくデザインの思考を学ぶ
身の回りのデザインに込められた、よりよく生きるための工夫や思考を斬新な映像と音楽で子どもたちに伝える番組「デザインあ neo」(NHK Eテレ)。そのコンセプトを体験の場に展開する展覧会の第3弾となる。総合ディレクターはグラフィックデザイナーの佐藤卓、映像ディレクターは中村勇吾、音楽ディレクターは蓮沼執太が務める。
今回は「あるく」「たべる」「すわる」「もつ」など、私たちが行う行為(動詞)がテーマ。自分の身体を使って体感する作品群で、日常に存在する様々な行為を、デザインの視点から捉えなおしていく。また、また360度のスクリーンに囲まれて映像と音楽を身体いっぱいに浴びる作品など、「デザインあ」展ならではの子どもから大人まで楽しめる作品も多数用意されている。
デザインあ展 neo
会期:4月18日(金)~9月23日(火祝)
場所:TOKYO NODE GALLERY A/B/C(東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45F)
時間:10:00~19:00(土日祝は9:00から、毎月第1・3水曜は17:00まで、9月17日は19:00まで、入場は30分前まで)
休館日:なし
3. 周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-(下瀬美術館)
若手9組の作品から読みとる東アジアの現代美術の地勢
2024年にユネスコ本部創設の建築賞、ベルサイユ賞を受賞した記念の特別企画展であり、2018年の開館以来初となる現代美術展。チーフキュレーターとして齋藤恵汰、コキュレーターとして松⼭孝法、李静文、根上陽子が参加する。
アーティストは、中国、インドネシア、韓国、ミャンマー、シンガポールなど東アジアにルーツを持つ9組が選ばれた。各作家による環境やグローバル化、科学技術と社会の関係性を探る普遍的で現代的なテーマを扱った作品が展示され、それぞれの地域の文化的背景と現代社会の諸問題を織り交ぜた多角的な視点から現代美術の地勢を検証する。日本からは遠藤薫、金理有、久木田大地、鈴⽊操、MADARA MANJIが、海外からはオミョウ・チョウ、ムハマド・ゲルリ、ミャンマーからソー・ユ・ノウェが参加。作家、キュレーターともに1980年~2000年生まれの若手で、うち4人は日本の美術館では初の展示となる。
周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-
会期:4月26日(土)~7月21日(月祝)
場所:下瀬美術館(広島県大竹市晴海2丁目10-50)
時間:9:30~17:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
4. 「元始女性は太陽だった」のか?(KOTARO NUKAGA Three)
3人の女性アーティストが考える「日本女性の解放」
ニューヨークに拠点を置く非営利団体apexartの国際キュレーション公募による本展は、嶋田美子、山本れいら、みょうじなまえの3人の女性アーティストの作品を通じて、歴史への批判と未来への思索によって、家父長制を巡る物語に挑む。
展覧会のタイトルは日本のフェミニスト運動の先駆者のひとり、平塚らいてうが1911年に雑誌「青鞜」に寄稿した記事の一節から引用されており、平塚は女性の抑圧された状態を月に、自立を太陽に例えた。現在も2024年のジェンダー・ギャップ指数で日本は146カ国中118位であり、構造的な不平等が根強く残っていることを浮き彫りにしている。本展は日本のこのような現実に応答するものであり、制度化された女性の身体への管理に異議を唱え、女性がもはや月に例えられるような従属的な役割に縛られない社会を再想像するよう鑑賞者に促す。「日本の女性は真に自立していたことがあったのか?なかったのだとすれば、どうすれば太陽のような解放を達成できるのか?」3人の作品を通して考える。
「元始女性は太陽だった」のか?
会期:5月17日(土)~6月14日(土)
場所:KOTARO NUKAGA Three(東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex I 3F)
時間:11:00~18:00
休館日:日月祝
主催:apexart
5. New Dimension: Expanded Consciousness ー新次元ー拡張する意識(Mikke Gallery)
テクノロジーを用いて多元的な価値観を探求する7作家を紹介
Mikkeキュレーターズ・コンペティション受賞者展第4弾として、アートとテクノロジーの交差点で新たな次元の扉を開く斯波雅子のキュレーションによる展覧会を開催する。
新しいテクノロジーが知覚の境界線を広げる現在、アートはどこまで私たちの「意識」を拡張しうるのか。本展では、宇宙、東洋思想、仏教、神話、AI、ブロックチェーンなど、現代の多元的な価値観を探究するアーティストたちが、日本の伝統的な精神性、最先端技術、自然、そして記憶を織り交ぜながら、鑑賞者を知覚と自己省察の変容の旅へと誘う。出品作家は草野絵美、サシャ・スタイルズ、シュランパー、たかくらかずき、野村康生、森万里子、ルー・ヤン。
New Dimension: Expanded Consciousness ー新次元ー拡張する意識
会期:5月23日(金)~6月15日(日)
場所:Mikke Gallery(東京都新宿区四谷1丁目4 四谷駅前ビル 5F)
時間:11:00~19:00
休館日:火水