ARTnewsJAPAN

ゴッホ美術館がネイルサロンに!? オランダの文化施設がコロナでの営業規制に抗議

1月19日、新型コロナ感染拡大防止のための営業規制が芸術分野で続いていることへの抗議として、オランダの美術館や劇場が一時的にサロンやジムに姿を変えた。オランダでは、集中治療医療のひっ迫を招く感染者急増を抑えるため、12月下旬から「不要不急」のビジネスはすべて休業を強いられている。

ゴッホ美術館でネイルの施術を受ける女性(2022年1月19日) 写真:AP/アフロ

1月上旬にオランダのマルク・ルッテ首相は、営業を規制されていた中から美容室、スポーツジム、売春業など一部の制限緩和を発表した。一方、美術館や映画館、その他の娯楽施設に関しては休業が続いている。これを受けて、数十もの芸術関連団体が「劇場型美容室」と銘打った抗議活動を呼びかけ、多くの文化施設がジムやサロンとして営業を行った。

ゴッホ美術館は、ヘアカット、髭剃り、ゴッホをモチーフにしたネイルアートなどのサービスを提供。アムステルダム国立美術館ではヨガ教室を行い、フランス・ハルス美術館ではエアロビクスのレッスンを受ける人もいた。

「芸術文化の分野が悲惨な状況にあり、美術館が一刻も早い営業再開を必要としていることを広く知ってもらうための取り組みです。美術館は安全ですから、みなさんに見に来ていただきたいのです」と、抗議活動主催者のウェブサイトは記している。

人数制限が設けられたイベントは無料だが、理容師やネイリストの施術は有料だ。中にはプロの演奏家が音楽を奏でてくれる会場もあり、アムステルダムの王立コンサートホールでは、髪を切ってもらいながらクラシックの生演奏を聞くことができた。

オランダでは、1日の感染者数が過去最高レベルに達しているが、集中治療を受ける患者や死亡者は減少している。1月初めには数千人規模のデモ隊がアムステルダムの街を埋め尽くし、現在ヨーロッパでも特に厳格だとされるコロナ規制への抗議を行った。(翻訳:野澤朋代)

※本記事は、米国版ARTnewsに2022年1月20日に掲載されました。元記事はこちら

あわせて読みたい