今週末に見たいアートイベントTOP5: オノ・ヨーコが東京2会場で個展を開催、長谷川愛の作品から「人工子宮」のある未来を考える
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展(森アーツセンターギャラリー)
第一線のアーティストが表現した「ゴジラ」
2024年に生誕70周年を迎えたゴジラは、各時代の監督によって、様々な映像作品が作られてきた。本展は、その多様なゴジラを映画という枠を超え、現代に生きる国内外のアーティストが「ゴジラとは、何か。」という問いに対し、自身の答えをアート作品として展示する。
作品は、絵画、彫刻、写真、パフォーマンスなどジャンルは多彩だ。参加アーティストは、横尾忠則、福田美蘭、OJUN、風間サチコ、川田喜久治、Tokyobuild、小谷元彦、青柳菜摘、佐藤朋子、我喜屋位輝務、NOH Sangho、COIN PARKING DELIVERY、河村康輔、小池健輔、Haroshi、佃弘樹など。そのほか、会場では東宝映像美術によるゴジラとアートが融合したジオラマと本展のために制作された特別映像が上映されるほか、展示空間自体もゴジラによって破壊されており、会場全体からもゴジラの存在を体感できる。
ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展
会期:4月26日(土)〜6月29日(日)
場所:森アーツセンターギャラリー(東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー52F)
時間:10:00〜19:00(金土は20:00まで、入館は30分前まで)
休館日:無休
2. ケリス・ウィン・エヴァンス(タカ・イシイギャラリー 京都)
町屋建築の陰影に捧げるフォトグラビュール作品
文学、映画、美術、天文学、物理学といった多様な分野における先駆者たちの試みを引用した、コンセプチュアルな作品で知られるケリス・ウィン・エヴァンス。これらのコンテンツを伝えるための舞台やテキスト、記号、イメージ、光、音などの「器」を自在に操ることで、作品は視覚、空間感覚、聴覚といった五感の境界を越え、共感覚的な体験として知覚される。
本展では、エヴァンスが会場である伝統的な町家建築に捧げた16点のフォトグラビュール作品を展示している。谷崎潤一郎は『陰翳礼讃』の中で、日本家屋における採光の抑制が、漆器や蒔絵、屏風、床の間などの美しさを際立たせると述べ、日本の美意識が陰翳の濃淡によって成立していることを指摘した。エヴァンスはそれを受け、大小様々なサイズのガラス板を会場の各所に配した。透明で存在感が幽かなガラス板は、屋内に差し込むはかない光線を静かに留め、建物の佇まいを淡く映し返す。
ケリス・ウィン・エヴァンス
会期:5月3日(土)〜6月21日(土)
場所:タカ・イシイギャラリー 京都(京都府京都市下京区矢田町123)
時間:10:00〜17:30
休館日:日~水・祝
3. 第18回「shiseido art egg」第 3 期展 平田 尚也展(資生堂ギャラリー)
デジタルの進化の中での「魂の在りか」を考察
資生堂が新進アーティストを応援する公募プログラム、第18回「shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)」に入選した大東忍、すずえり、平田尚也。彼らの作品を紹介する展覧会の3回目は平田尚也を特集する。
平田は1991年長野生まれ。デジタルテクノロジーの発達により、身体そのものの仮想化が進みアバターが一般化しつつある今日において、我々の身体性やアイデンティティを探求している。VRSNS(ソーシャルVR)で使用されるアバターは、「仮の姿」ではなく、意志によって選択された個性や思考を反映し、精神の本来の形を現す「映し鏡」でもある。本展では、「身体という表面に宿る魂の在りか」を探る考察を試みる。
第18回「shiseido art egg」第 3 期展 平田 尚也展
会期:5月28日(水)〜6月29日(日)
場所:資生堂ギャラリー(東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1F)
時間:11:00〜19:00(日祝は18:00まで)
休館日:月曜
4. PARALLEL TUMMY CLINIC(SHUTL)
没入型展示で「人工子宮」のある未来を考える
バイオアートやスペキュラティヴ・デザインなどの手法で、生物学的課題や科学技術の進歩をモチーフに、現代社会に潜む諸問題を掘り出す作品を発表する長谷川愛。本展は、彼女がこれまで継続して取り組む人工子宮(PARALLEL TUMMY)を主題に、今から50年後の未来都市・東京を生きる人々の姿を想像する没入型のメディア・インスタレーションとなっている。
コラボレーターとして参加するのは、多様なセクシュアリティにまつわる社会問題を扱う作家・演出家・俳優の山田由梨。両者の協働により、遠い未来のありようやリアリティを具体的かつ身体的に想像する、稀有な鑑賞体験が生まれた。鑑賞者は1組ずつタイムラインの指示に従って、「人工子宮の活用が一般化された2070年代の東京」を舞台に、自らが東銀座のクリニックで人工子宮の利用を検討するという設定の物語を経験する。
PARALLEL TUMMY CLINIC
会期:6月6日(金)〜7月7日(月)
場所:SHUTL(東京都中央区築地4-1-8)
時間:13:00〜20:00(日時指定予約制、入場は1時間前まで)
休館日:火水
5. オノ・ヨーコ「A statue was here 一つの像がここにあった」(小山登美夫ギャラリー六本木・天王洲)
東京2会場で鑑賞者参加型の作品を展示
70年以上にわたるキャリアを通じて、アート界のみならず社会的にも影響を及ぼしてきたオノ・ヨーコ(1933-)。オブジェ、映画、音楽、パフォーマンスからインスタレーションまで手法は多様で、その革新的な表現は鑑賞者の想像力と行為を引き出してきた。2024年のテート・モダンでの大規模個展は大きな話題となり、92歳の現在もベルリンの新ナショナルギャラリー、New Berlin Art Society、マルティン・グロピウス・バウなど3カ所以上で個展が同時開催されるなど旺盛に活動している。
同ギャラリーでは9年振り4回目の個展となる本展は2会場で開催。オノのコンセプチュアルなアプローチを反映した作品をセレクトし、鑑賞者の参加行為を誘う。六本木で展示される《Mind Object I》(1966-67)は、白、透明の球体や、一本のタバコ、一枚のコイン、石でできた本、塩入れで構成され、観覧者の心の中に1つのオブジェクトを創造するように促す。天王洲では、鑑賞者が包帯を球体状に巻くことで、展覧会を通じて大きさを増していく《Wrapping Piece》など、来場者の参加とパフォーマンスによって成立する作品を展示する。
オノ・ヨーコ「A statue was here 一つの像がここにあった」
会期:6月10日(火)〜7月5日(土)
場所:小山登美夫ギャラリー六本木(東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F)、小山登美夫ギャラリー天王洲(東京都品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex Ⅰ 4F)
時間:11:00〜19:00(天王洲は18:00まで)
休館日:日月祝