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首のないローマ皇帝像をメトロポリタン美術館から押収。同館所蔵の略奪品調査が続く

ニューヨークメトロポリタン美術館から、約2500万ドル(約33億円)の価値がある首のないブロンズ像が押収されたと、ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。調査の結果、1960年代にトルコの遺跡から盗まれたことが判明した。

メトロポリタン美術館から押収され、トルコに返還されるローマ皇帝像。Photo: Manhattan District Attorney’s Office

押収されたブロンズ像は、10年以上にわたりメトロポリタン美術館(以下、メット)のギリシャ・ローマ美術セクションに展示されていた。同館の研究員によると、古代ローマの皇帝、セプティミウス・セウェルスを描いたものだという。

近年メットでは、その膨大な所蔵品の中から不正売買に関連する古美術品が次々と見つかっており、ニューヨーク・タイムズ紙によると、この3カ月間だけでもマンハッタン地区検察局によって「略奪品の疑いがある」とされたものが約20点ある。今回の押収品も最近押収された3点の1つで、トルコに返還されることが決まった。

また、セウェルス帝の息子で、父の後を継いだカラカラ帝のブロンズ製の頭部もトルコに返還される。2体とも、ローマ帝国南東部(現トルコ南部)にあったBubonなどの都市の遺跡から略奪されたと考えられており、この地域では「ローマ帝国が支配していた時代に皇族が崇拝の対象だった」とニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。

同紙の記事によれば、こうした遺跡から不正な手段で流出した遺物を取り戻すことは、トルコ当局の長年の悲願だという。調査官は、これらの彫像は主に1960年代に地元の農民が発掘し、政府に報告せずに売り払われたと見ている。地区検事局の古美術売買部門主任、マシュー・ボグダノスは、「当時は盗掘が村人の生業として行われていた」と、同紙の取材に答えた。

トルコに返還された古美術品は12点、合計3300万ドル(約44億円)相当にのぼる。先週行われた引き渡し式で、在ニューヨークトルコ総領事のレイハン・オズギュルは、「今回の返還は、全ての密輸業者、ディーラー、コレクターに対し、文化財の違法な購入、所持、販売は重大な結果を招くという明確で強いメッセージを送るものだ」と述べた。

この件でメットにコメントを求めたが、現時点でコメントは得られていない。(翻訳:石井佳子)

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