フリーダ・カーロの絵を焼却! NFTプロジェクトのためと主張するコレクター、メキシコ当局が調査
メキシコ人アートコレクター、マルティン・モバラクは、「フリーダ・NFT(Frida.NFT)」という自身のNFTプロジェクトの一環として、フリーダ・カーロのドローイングを燃やしたと主張している。
9月下旬、フリーダ・カーロのドローイングを燃やす様子と思われる動画が、メキシコのアートプラットフォーム、アルテ・キャピタルのツイッターアカウントに投稿された。
フリーダ・NFTのウェブサイトの「よくある質問(FAQ)」ページによると、このドローイング(ややこしいことに、ウェブサイト上では「ペインティング」と書かれている)は、モバラクのマイアミのアパートに200人が集まったプライベートイベントで、メキシコ人アートディーラーのアンドレス・シーゲルによって鑑定された後に燃やされた。
ドローイングのタイトルは《Fantasmones sinisteros(邪悪な幽霊たち)》(1944)で、イベントでは、ドライアイスの入ったマティーニグラスの上に置かれ、火をつけられた。フリーダ・NFTのFAQページには、「2022年7月30日、この絵は永久にメタバースに移行された」と書かれている。
同ウェブサイトによると、フリーダ・NFTによる収益は、メキシコシティのフリーダ・カーロ美術館やベジャス・アルテス宮殿など、モバラクが協力したことがあると主張する美術関連施設に寄付されるという。
メキシコの国立芸術文学研究所(Instituto Nacional de Bellas Artes y Literatura)は、モバラクの主張を否定する声明を発表し、ベジャス・アルテス宮殿がモバラクから寄付や協力を受けたことはないとしている。フリーダ・カーロ美術館がモバラクから資金提供を受けたことがあるどうかは明らかになっていない。
さらに、燃やされたドローイングが本物かどうかも不明で、メキシコ当局が今後調査を行う予定だという。この絵が本物だとすれば、モバラクは法的な問題に直面する可能性がある。
国立芸術文学研究所の声明には次のように書かれている。「メキシコでは、考古学的、芸術的、歴史的なモニュメントと区域に関する連邦法により、芸術作品の故意の破壊は犯罪とされる」(翻訳:野澤朋代)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年9月30日に掲載されました。元記事はこちら。