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ジャンポール・ゴルチエがボッティチェリの絵画を無断使用!? ウフィツィ美術館が同ブランドを提訴

フィレンツェのウフィツィ美術館が、ボッティチェリの絵画を無断で使用したとして、フランス人ファッションデザイナーのジャンポール・ゴルチエを提訴した。10月10日(現地時間)、同美術館が英『ガーディアン』紙に語った。

論争の的となっているのは、ボッティチェリの有名な作品《ヴィーナスの誕生》。ゴルチエは今年はじめ、この《ヴィーナスの誕生》やプラド美術館に収蔵されているルーベンスの《三美神》、システィーナ礼拝堂にあるミケランジェロの《アダムの創造》を含むさまざまなルネサンス絵画をプリントに用いたカプセルコレクション「Le Musée」を発表したが、ウフィツィ美術館は、ボッティチェリの画像を無許可で商業利用したことが、イタリアの文化財保護法に違反すると主張。ジャンポール・ゴルチエに対して訴えを起こした。同作品はウフィツィ美術館の永久収蔵品であり、美術館はその著作権管理の役割を担っている。

《ヴィーナスの誕生》はルネサンス期の画家であるボッティチェリが1480年代に制作した作品で、現在はパブリックドメインとなっている。しかしイタリアの法律では、国の公的文化財の画像の商業利用には承認とライセンス料の支払いが必要と規定されている。

ウフィツィ美術館の法務部はゴルチエ側に対し、今年4月に該当商品の販売中止を求めたが聞き入れられなかったという。

現在《ヴィーナスの誕生》を使用した商品はジャンポール・ゴルチエの公式ウェブサイトからは削除されているものの、一部の他のオンラインショップではまだ販売中だ。ARTnewsの取材に対し、ゴルチエの代表者から現時点で回答はない。(翻訳:編集部)

※本記事は、米国版ARTnewsに2022年10月11日に掲載されました。元記事はこちら

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