約230億円でレンブラント複製を売ろうとした国際偽造グループを摘発。ピカソやカーロなどの贋作も

ドイツの警察当局が、国際的な偽造グループを摘発したと発表した。このグループは偽のレンブラントパブロ・ピカソフリーダ・カーロ作品を高額で収集家に売りつけようとしていた。

ドイツの警察当局に押収されたレンブラント《アムステルダム織物商組合の見本調査官たち》の複製。Photo: Corbis via Getty Images

ドイツのバイエルン州警察は10月24日、国際的な偽造グループを摘発したことを発表した。主犯格の容疑者はバイエルン州出身の77歳のドイツ人男性で、10人の共犯者がいたと見られている。

捜査当局は、リーダーとされる男がピカソの真作と偽って2点の作品を売ろうとした際に、詐欺であることを突き止めたとしている。そのうちの1点がピカソのミューズの1人、ドラ・マールの肖像画だったため、捜査には「ドラ・マール」というコードネームが付けられていた。

ちなみに、ピカソがドラ・マールをモデルに描いた作品はオークションでの人気が高く、高額落札はめずらしくない。つい先週も、パリのオークションハウス、オテル・ドルーオでマールを描いた絵画が3200万ユーロ(約57億円)で落札されている。

約100人の警察官と3人の検察官を動員した捜査は、ベルリン、シュトゥットガルト、ドレスデン、ミュンヘン、ヴィッセン、シュヴァンドルフ、エルランゲン、バート・ハルツブルクなどドイツ全土におよび、スイスとリヒテンシュタインでも贋作と疑われるものが発見された。

また、偽造グループのリーダーにはレンブラントの《アムステルダム織物商組合の見本調査官たち》(1662)の複製を1億5000万ドル(約228億円)で売却しようとした容疑もかけられている。17世紀アムステルダムの織物商ギルドのメンバーを描いたこの絵の真作は、オランダアムステルダム国立美術館の所蔵品だ。

捜査当局によると、問題とされるレンブラント作品は20世紀に複製された可能性が高く、84歳のスイス人女性が所有していたという。現在この女性は、スイス警察の調べを受けている。

ほかにも19点の偽造作品の販売が試みられたとされ、アンソニー・ヴァン・ダイクピーテル・パウル・ルーベンスアメデオ・モディリアーニジョアン・ミロ作とされる絵画に対し、46万ドルから1600万ドル(約7000万〜24億円)の価格が提示されていた。

バイエルン州警察は、ラインラント=プファルツ州の74歳の男性が鑑定書を偽造した共犯者として告発されていることも明らかにし、声明で次のように述べている。

「捜査は継続中で、押収された全ての絵画は今後数週間のうちに、専門家や鑑定士による詳細な調査を受けることになります」(翻訳:石井佳子)

from ARTnews

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