「Art Collaboration Kyoto 2025」開幕目前! 深化する「協働」のプラットフォーム、7つの見どころ
「コラボレーション」をコンセプトにした国際アートフェア「Art Collaboration Kyoto(ACK)」が11月14日から16日まで、国立京都国際会館で開催される。今年も国内外のギャラリーが協働して開催するアートフェアをはじめ、様々なプログラムが用意されている。7つのポイントから、今年の見どころを紹介する。

秋の京都を舞台に開催される、「コラボレーション」をコンセプトにした現代美術の国際的アートフェア「Art Collaboration Kyoto (ACK)」が11月14日から始まる(16日まで)。5回目となる今年は19の国・地域(28都市)から72ギャラリーが参加。アートフェアのみならず、会場の内外で様々な催しや展覧会が行われる。これらを楽しみつくす7つの見どころを紹介する。
1. ギャラリーコラボレーション、キョウトミーティング

同フェアの大きな特徴と言える、日本国内のギャラリーがホストとなり、海外のギャラリーと1つのブースをシェアして展示する「ギャラリーコラボレーション」をまずは見ておきたい。今年は日本からは29、海外から30のギャラリーが出展する。
見どころは、ブルーチップギャラリー、グラッドストーン・ギャラリー(ニューヨーク)が初参加する点だ。同ギャラリーはTARO NASUとコンビを組んで、マシュー・バーニー、プレシャス・オコヨモン、ブノワ・ピエロン、田島美加らの作品を紹介する。同じく初参加のPARCEL(東京)は香港のTHE SHOPHOUSEとコラボし、絵画とセラミックを軸にジョセフ・ジョーンズ、スティーブ・ハリソンら4人のアーティストの作品を出品。韓国現代アートギャラリーの代表的存在であるアラリオ・ギャラリー(ソウル)とCON_(東京)は、日韓の現代アートシーンを代表する3人の若手作家、イム・ノシク、ノ・サンホ、山中雪乃の新作を揃える。
京都にゆかりのあるアーティストや作品を紹介する「キョウトミーティング」では、昨年に引き続きペロタン(東京)、neugerriemschneider(ベルリン)など国内外13ギャラリーが出展予定だ。FINCH ARTS(京都)は1920年に京都に生まれ、具体美術協会の創設期から参加した上前智祐と、その姿勢を継ぐ画家・神馬啓佑、西村有未、そして戦後関西美術の中心的存在である彫刻家、福岡道雄の作品を展示。Ulterior Gallery(ニューヨーク)は、京都を拠点とする国谷隆志とニューヨークを拠点とするキャリー・ヤマオカの2人展を開催する。
2. パブリックプログラム

Photo by Tomoki Imai
同フェアが主催する「ACK Curates」では、フェアディレクターの山下有佳子が毎年異なるテーマを提示し、企画展示「パブリックプログラム」やトークセッションなどを展開する。2025年のテーマは「2050 —未来へのまなざし—」だ。
今年の「パブリックプログラム」は、森美術館のアジャンクト・キュレーターを務めるマーティン・ゲルマンと、フェミニズム/クィアの視点と脱植民地主義的な言説の交差点に関心を持ち、アイデンティティや自他関係の変容可能性を探求する木村こころが共同キュレーターとして選ばれた。2人は、全体テーマに答える形で「シンビオーシス:アート、そして共に生きる世界」というタイトルの展覧会を開催する。展示作家は土肥美穂、遠藤利克、木村友紀、イェイン・リー、フン・ティエン・ファン、ダニエル・スティーグマン・マングラネ、菅木志雄、リクリット・ティラヴァニ、安永正臣、ステラ・ジョン。作品は会場内の各所に点在するので、マップを片手に探すのがおすすめだ。
3. トークプログラム

会期中は、アートの分野に加え、経済、ファッションや建築、宗教など様々な領域からの専門家を招いて9つのトークプログラムが行われる。11月15日はワシントン大学アジア言語文学学科准教授のジャスティン・ジェスティ、インディペンデント・キュレーターの山口洋三、吉竹美香、文化研究者の山本浩貴を招き、ACK内で開催される九州派展を起点に、降り積もった時間の地層を掘り起こすように、歴史や文化を再解釈し、新たな価値を再発見することについて語り合う。11月16日はオラファー・エリアソンと両足院副住職の伊藤東凌が「時間」とそれを形作る、あるいはそれによって培われる 「精神」についての考え方を語り合いながら、現代社会を生きぬき、より良い未来を紡ぐための方法について模索する。
4. キッズプログラム
今年も、子どものためのアート体験プログラムを用意。会期中は1日2回、京都芸術大学アート・コミュニケーション研究センター(ACC)の主催で、アートフェア会場を巡って作品を鑑賞し、考えたことや感じたことなどをおしゃべりしながら楽しむ対話型鑑賞ツアーを行うほか、11月14日には名和晃平が美大受験の基礎訓練としても行われていたモデルクロッキーを通じて、描くことの自由さ・楽しさを伝え、休憩時には飲み物を片手に歓談するワークショップなどが開催される。
5. スペシャルプログラム

パートナー企業の協力のもと開催される「スペシャルプログラム」も必見。今年は伊藤彩、山内祥太が個展を開催するほか、約70年前、戦後の福岡市で生まれた前衛美術グループ「九州派」に迫る展覧会などが行われる。
6. 連携プログラム
会期中、京都の街の様々なアート施設が展覧会を開催し、さながら「アートの街」へと変貌する。詳細はACKのHPに網羅されている。期間中は、シャトルバスの運行や、来場者に電動自転車のシェアサービスCLEWの無料貸し出しも行われるので、効率的に展覧会を巡ることができるだろう。
7. ARTnews JAPAN VIPラウンジ

ACKのメディアパートナーを務めるARTnews JAPANは、イタリア・ミラノのラグジュアリーレザーブランド、VALEXTRAとコラボレートし、ARTnews JAPAN読者とACKのVIPに向けて「ARTnews JAPAN VIPラウンジ at Casa Valextra」を11月13・14日の2日間オープンする。場所は、ギャラリーやアート施設にもアクセス抜群な祇園・花見小路通にあるCasa Valextraの2階。
休憩スペースではポメリーのシャンパーニュやARTnews JAPANオリジナルのミネラルウォーターが提供されるほか、雑誌ARTnewsのバックナンバーもチェックできる。入場にはACKのVIPパスか、ARTnews JAPANの会員ページもしくはニュースレター画面の提示が必要。
Art Collaboration Kyoto
会期:11月14日(金)~11月16日(日)※11月13日は報道関係者と招待者のみ
会場: 国⽴京都国際会館(京都市左京区宝ヶ池)ほか
時間:12:00~19:00(16日は11:00~17:00、入場は1時間前まで)
ARTnews JAPAN VIPラウンジ at Casa Valextra
会期:11月13日(木)・11月14日(金)
会場:CASA VALEXTRA(京都市東山区祇園町南側 570-8)
時間:12:00~19:00(14日は11:00から、入場は1時間前まで)