アート・バーゼル香港2026が出展者を発表、新セクター「Echoes」も始動。日本勢は約30ギャラリー

アート・バーゼル香港2026の出展ギャラリーリストが発表された。2026年3月27日〜29日(VIPプレビューは3月25〜26)に香港コンベンション&エキシビション・センターで開催される同フェアには、41の国と地域から、240ギャラリーが参加する。アメリカ、フランス、ジョージア、トルコ、ドイツ、オランダ、スペイン、オーストラリア、日本、韓国、中国などから、32軒が初出展を果たす。
参加ギャラリーの半数以上はアジア太平洋地域に拠点を持ち、うち29ギャラリーが香港にスペースを構えている。日本からは約30ギャラリーが出展。スカイ・ザ・バスハウス、タロウナス、タカ・イシイ・ギャラリー、小山登美夫ギャラリー、ナンヅカ、ミサコ&ローゼン、カイカイキキなど、日本の現代美術シーンを牽引するギャラリーが2026年版にも名を連ねるほか、メインの「Galleries」セクションには、10月に青山の新スペースに移転したア・ライトハウス・カナタが初めて参加する。
一方、前回のギャラリー部門に出展した33軒が2026年版への参加を見送っている。その中には、ブラム(Blum)やカスミン(Kasmin)、クリアリング(Clearing)など閉廊したギャラリーも含まれる。
また、2026年版では、過去5年以内に制作された作品に特化し、1ブースにつき最大3名のアーティストを紹介する新セクション「Echoes(エコーズ)」がローンチされる。このセクションでは、東京のアノマリーを含む合計10ブースが展開される。
大型インスタレーション、彫刻、パフォーマンスを扱う「Encounters」セクションでは、森美術館館長の片岡真実をリードに、香港のM+のキュレーターであるイザベラ・タム(Isabella Tam)、ジョグジャ・ビエンナーレ財団ディレクターのアリア・スワスティカ(Alia Swastika)、そして森美術館シニアキュレーターの徳山拓一の4名が共同キュレーションを行う新体制がスタート。アジアの視点を強化する布陣で、地域的文脈を横断した展示を行う。

パブリックプログラムも充実
さらに、映像プログラム「Film」、トークセッションからなる「Conversations」、あるいは文化機関との共同企画などで構成されるパブリックプログラムも拡大される。中でも注目は、タイムベースドメディアへの取り組みを強化するアート・バーゼル香港の姿勢を体現する「Film」プログラムだ。ここでは、アーティストとして初めて、香港のアートとテクノロジーの領域を切り開いてきた先駆的メディアアーティスト、エレン・パウがキュレーションを手がける。
M+との恒例コラボレーションでは、パキスタン系アメリカ人作家のシャジア・シカンダー(Shahzia Sikander)による映像作品が同館ファサードに投影される予定で、都市全体を巻き込む企画が強化されている。
アート・バーゼル香港のディレクター、アンジェル・シヤン=リは、2026年版の開催に向け、次のように期待を寄せる。
「税制上の優位性、フリーポートとしての歴史、物流面での利便性、多言語環境、比類なきアクセス性などの強みによって、アート・バーゼル香港は、この地域の豊かな文化的多様性とダイナミックなアート市場へのゲートウェイとしての役割を果たします。2026年版も、アジアのグローバル文化ハブとしての香港の存在感を祝福するものとなるでしょう。何より、私たちの目標は、インスピレーションを与え、学びを促し、コミュニティをつなぐことです。アート・バーゼル香港は、単なるアートフェアではなく、活力あるレジリエントなアート市場を駆動する、生きたエコシステムなのです」
※ 出展者一覧