【2025年上半期・決定版】日本のアートフェア&芸術祭13選。大阪・関西万博から瀬戸内国際芸術祭、アートフェア東京まで
私たちが生きる社会におけるアート業界の潮流を様々な角度から知るための重要な手がかりともなるのが、アートフェアと芸術祭だ。日本において2025年は、「大阪・関西万博」や「瀬戸内国際芸術祭」など話題のアートイベントの開催年でもある。今年上半期に訪れたい13のイベントを紹介する。
- 《アートフェア》
- 1. CURATION⇄FAIR(キュレーションフェア)
- 2. アートフェア東京
- 3. ARTISTS' FAIR KYOTO 2025
- 4. KOBE ART MARCHÉ 2025
- 5. ART OSAKA 2025
- 《芸術祭》
- 1. やんばるアートフェスティバル2024-2025 山原本然
- 2. 恵比寿映像祭2025 Docs ―これはイメージです―
- 3. 千葉国際芸術祭2025
- 4. 大阪・関西万博
- 5. 瀬戸内国際芸術祭2025
- 6. Study: 大阪関西国際芸術祭 2025
- 7. KYOTOGRAPHIE 2025
- 8. Osaka Art & Design 2025
2025年は「大阪・関西万博」や、国際的に人気のトリエンナーレ「瀬戸内国際芸術祭」の開催など、まさに「芸術祭の当たり年」だ。アートフェアも従来のものに新進も加わり、より多彩さを増している。ARTnews JAPANでは、2025年上半期に国内で開催される13のアートフェアと芸術祭を網羅した。今年のアート巡りや旅行計画の参考にしていただきたい。
《アートフェア》
1. CURATION⇄FAIR(キュレーションフェア)
気鋭のキュレーターによる展覧会(2月1日~16日)とアートフェア(2月22日~24日)の2部構成で、古美術や近現代美術、工芸を「観て」「買える」アートイベント。コンセプチュアルなテーマの展覧会が作品への理解を深めてくれるため、購入初心者にもおすすめだ。メイン会場は一般非公開の登録有形文化財「kudan house」で、ANOMALY、小山登美夫ギャラリー、MISAKO & ROSEN、TARO NASU、東京画廊+BTAP、WAITINGROOMなどが出展。千代田区内のホテルなどをサテライト会場とし、サウンド・インスタレーションやトークプログラムも行われる。
CURATION⇄FAIR(キュレーションフェア)
日程:2月1日(土)〜 24日(月休)(1月31日と2月21日はプレビュー)※会場により日程が異なる
会場:kudan house(東京都千代田区九段北1-15-9)、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町、ラグジュアリーコレクションホテルほか
2. アートフェア東京
2005年から開催される日本最大級の国際的アートフェア。昨年は156 ギャラリーが出展し、約33憶円を売り上げた。展示は3セクションで構成され、国内外のギャラリーや美術商が出展する「ギャラリーズ」には、現代アートだけでなく、古美術や日本画、近代美術、工芸といった幅広い作品が集まるのが特徴だ。若手の育成を支援する企業財団や百貨店、地方工芸団体が参加する「クロッシング」、新進気鋭のギャラリーや若手アーティストを個展形式で紹介する「プロジェクツ」も見逃せない。
アートフェア東京
日程: 3月6日(木)~9日(日)(6日はプレビュー)
会場:東京国際フォーラム ホールE・ロビーギャラリー(東京都千代田区丸の内3-5-1)
3. ARTISTS' FAIR KYOTO 2025
アーティストが主導し、企画から販売までを行う異色のアートフェアとして2018年から開催。第一線で活躍する作家16組が「アドバイザリーボード」となって気鋭の若手を推薦し、公募を合わせた約40組を紹介する。今年は名和晃平が諫山元貴、ミヤケマイが大角ユウタ、伊庭靖子が山本紗佑里、大巻伸嗣が本岡景太らを推薦。東福寺ではアドバイザリーボードたちによる展覧会が開かれ、椿昇、加藤泉、ヤノベケンジ、ロバート・プラットらの代表作や新作を見ることができる。アートアワード、トークプログラムも実施。
ARTISTS' FAIR KYOTO 2025
日程: 2月28日(金)~ 3月2日(日)/アドバイザリーボード展は3月6日(木)まで
会場:京都国立博物館 明治古都館(京都市東山区茶屋町527)、京都新聞ビル 地下1階(京都市中京区烏丸通夷川上ル少将井町239)、臨済宗大本山 東福寺(京都市東山区本町15-778)
4. KOBE ART MARCHÉ 2025
ホテルのワンフロアを丸ごと会場にし、各ギャラリーが客室を1室ずつ使用して趣向を凝らした展示を行う。現代アートを中心に、昨年は老舗から新鋭まで43ギャラリーが出展。部屋の壁やサイドテーブル、バスルームなどを使った展示は、アートのある暮らしをイメージしやすくしてくれる。プロを目指す若手アーティストを支援する公募展の入選者を特集するセクションも。一般社団法人・神戸芸術振興協会が主催し、国際貿易港の神戸から新たな才能を発信する。
KOBE ART MARCHÉ 2025
日程:2024年5月16日(金)〜 18日(日)
会場:神戸メリケンパークオリエンタルホテル7F(兵庫県神戸市中央区波止場町5-6)
5. ART OSAKA 2025
大阪を代表するギャラリストたちが運営する、老舗の現代アートフェア。日本のフェアでは珍しい、大型作品やインスタレーションに特化した「Expandedセクション」が見どころだ。造船所跡のクリエイティブセンター大阪を舞台に、約15組の作家がダイナミックな展示を見せる。歴史的建築の大阪市中央公会堂では、約40ギャラリーがブース形式で出展する「Galleriesセクション」が開かれ、大集会室を使った新プログラムも企画中という。2会場の周辺で行われる連携企画にも注目したい。
ART OSAKA 2025
日程:「Expandedセクション」6月5日(木)~ 9日(月)/「Galleriesセクション」6月6日(金)~ 8日(日)(6日はプレビュー)
会場:クリエイティブセンター大阪(大阪府大阪市住之江区北加賀屋4-1-55)ほか/大阪市中央公会堂(大阪市北区中之島1-1-27)
《芸術祭》
1. やんばるアートフェスティバル2024-2025 山原本然
沖縄本島北部、世界自然遺産に認定されたやんばるの地で繰り広げられる地域芸術祭。冨安由真、Chim↑Pom from Smappa!Group、ロドリゲス=伊豆見・彩、渡辺志桜里、片桐功敦ら22組が新規展示として参加する。小学校跡や商店街などで発表されるのは、沖縄の信仰や動植物の生態系、戦争などを題材にした作品たち。他地域などでのサテライト企画には淀川テクニック、椿昇ら約10組が出展する。沖縄本島全域から同フェスがセレクトした陶芸、ガラス、染織などの工房や作家による「クラフト」部門もある。
やんばるアートフェスティバル2024-2025 山原本然
日程: 1月18日(土)〜 2月24日(月休)
会場:大宜味村立旧塩屋小学校「大宜味ユーティリティーセンター」(沖縄県国頭郡大宜味村塩屋538)ほか沖縄県本島北部地域
2. 恵比寿映像祭2025 Docs ―これはイメージです―
メイン会場の東京都写真美術館と周辺各所で、展示・上映やライブパフォーマンスなどを複合的に行い、「映像とは何か」を考える国際フェスティバル。今年は総合テーマを「Docs ―これはイメージです―」として、メディアの変容に着目しながら、19世紀から現代までの多様な表現を紹介する。トニー・コークス(アメリカ)や劉玗(台湾)による日本初公開作は必見。同映像祭が映像作品の制作委嘱作家を選ぶ「第2回コミッション・プロジェクト」のファイナリスト4人の新作展示も。
恵比寿映像祭2025 Docs ―これはイメージです―
日程:1月31日(金)〜 2月16日(日)※コミッション・プロジェクト(3F展示室)は3月23日(日)まで
会場:東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス各所ほか
3. 千葉国際芸術祭2025
政令指定都市の千葉市で、「市民参加型の芸術祭」がトリエンナーレ形式で初開催される。総合ディレクターは東京藝術大副学長の中村政人。4月からの本会期では、海外の作家や、千葉市ゆかりの若手を対象にした公募の滞在制作プロジェクトを予定。現在はプレ会期中で、2月前半には美術家の西尾美也による全5回のワークショップ「まちばのまちばり」を実施。毎回異なるテーマでユニークな服を作る。市内の全教員を対象にした公募展「先生たちのアートアンデパンダン展」(2月19日~ 3月2日)もある。
千葉国際芸術祭2025
日程:プレ会期2024年10月~2025年3月/本会期2025年4月~12月(コア期間 9月下旬~11月下旬)
会場:千葉駅周辺、千葉市役所周辺、千葉市動物公園、きぼーるアトリウムなど千葉市内各所
4. 大阪・関西万博
日本で20年ぶりに開催される国際博覧会。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、184日間に渡って開かれる。「アート万博」と名づけられたカテゴリーでは、植栽によって会場内に誕生した「静けさの森」でのインスタレーション、EXPOホールの外壁を多彩なクリエーターたちが彩るプロジェクションマッピングなどが披露される。「Study:大阪関西国際芸術祭2025」と連携し、万博会場の各所に多様なバックグラウンドを持つ国際的アーティストのパブリックアートも展示される。
大阪・関西万博
日程:4月13日(日)〜 10月13日(月)
会場:大阪府大阪市此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)
5. 瀬戸内国際芸術祭2025
アートを道しるべに瀬戸内海の島々を巡る人気の芸術祭が、3年に1度の開催年を迎える。春・夏・秋の3シーズン制で、今年は新たに香川県側の沿岸部を加えた全17エリアで展開。直島では、春に開館する安藤忠雄設計の直島新美術館も会場となる。毎回国際的なアーティストたちによる魅力ある作品が各エリアに蓄積していくなか、今回は21の国と地域から63組が新規参加する。アジア各国との連携に力を入れ、ジャッガイ・シリブート(タイ)、プ・ジヒョン(韓国)らが出展する。
瀬戸内国際芸術祭2025
日程:春会期4月18日(金)〜 5月25日(日)/夏会期8月1日(金)〜 31日(日)/秋会期10月3日(金)〜 11月9日(日)
会場:直島、豊島、女木島など瀬戸内海の島々と沿岸部(全17エリア)
6. Study: 大阪関西国際芸術祭 2025
過去3回のプレイベントを重ね、大阪・関西万博に合わせて本開催を迎える大規模アートフェス。大阪を中心に各所で展覧会や日韓合同の国際アートフェア(7月20日〜23日、20日はプレビュー)、アートプロジェクトを展開する。大阪文化館・天保山では、ドイツの研究機関と共に、人体をリアルに表現した彫刻展を開催し「人間とは何か」を考察。ハリウッドの特殊メイクで知られるカズ・ヒロのほか、マウリツィオ・カテラン、ジョージ・シーガル、メル・ラモス、アレン・ジョーンズ、ロン・ミュエクらを紹介する。
Study: 大阪関西国際芸術祭 2025
日程:4月13日(日)〜 10月13日(月)※会場により異なる
会場:大阪・関西万博会場内、大阪文化館・天保山(旧サントリーミュージアム)・ベイエリア 、中之島エリア(大阪国際会議場)、船場エリア、西成エリア、JR大阪駅エリア、松原市ほか
7. KYOTOGRAPHIE 2025
日本で数少ない国際的写真祭。京都のモダン建築や出町桝形商店街など12会場で繰り広げられる。今年のテーマは「HUMANITY」。自らの経験が作品の中心となっている写真に注目し、現代社会で人間はどう在るべきかを問う。京都文化博物館別館、両足院、誉田屋源兵衛 竹院の間などで、「異端者」と評されるプシュパマラ・N(インド)、マグナム・フォト所属のマーティン・パー(イギリス)、土門拳賞受賞作家の石川真生ら、世界10カ国の13組によるメインプログラムが展開される。
KYOTOGRAPHIE 2025
日程:4月11日(金)〜 5月11日(日)(4月11日はプレビュー)
会場:京都文化博物館別館(京都府京都市中京区三条高倉)ほか、京都市内十数カ所
8. Osaka Art & Design 2025
大阪の街をめぐりながらアートやデザインに出会う周遊型のイベントで、今年で3回目。昨年は公共スペースや百貨店、ギャラリーやインテリアショップなど55会場を舞台に、582組のクリエイターやブランドなどが参加した。絵画やインスタレーションから、著名な物故アーティスト、インテリアデザインにフィーチャーした展示と、内容は多種多様だ。今年のテーマは「Overlaps ~重なる夢中~」。至る所に現れるアートが、日常の景色に彩りを添えてくれる。
Osaka Art & Design 2025
日程:5月28日(水)〜 6月24日(火)
会場:梅田、堂島、中之島、京町堀、本町、心斎橋、なんば、阿倍野ほか大阪市内各地