最高齢受賞者は86歳! 女性アーティストを支援する「アノニマス・ワズ・ア・ウーマン」が、今年の助成金受賞者を発表
1996年に設立された助成団体アノニマス・ワズ・ア・ウーマン(Anonymous Was a Woman)が、2022年度の助成金受賞者を発表した。対象は、ジェンダーアイデンティティが女性であり、「キャリアの重要な分岐点」にいる40歳以上のアーティストだ。
15人の受賞者にはそれぞれ25,000ドルが贈られ、その中には、2023年にホイットニー美術館で回顧展が予定されている82歳の画家、ジュアン・クイック=トゥ=シー・スミスや、現在ブロンクス美術館で展覧会が開催されている41歳の彫刻家、アビゲイル・デヴィルも含まれている。
アノニマス・ワズ・ア・ウーマンによると、今回の助成対象者は、同団体の26年の歴史の中で最も多様性に富んでいるという。ニューヨークとカリフォルニア以外を拠点とするアーティストが例年より多く、また、ジェンダー、人種、テクノロジーの関係に焦点を当てた作品を多く発表しているミカ・カルデナス博士は、トランス女性として史上初めて助成金を受け取った。
アノニマス・ワズ・ア・ウーマンという名前は、ヴァージニア・ウルフの著書『自分だけの部屋』(1929年)の一説に由来している。設立者であるスーザン・アンターバーグは、US版『ARTnews』の取材に対し、「アート界は変化している」と語った。「10年前であれば、受賞者の中にトランスジェンダーのアーティストはいなかったでしょう。媒体は変化しているし、これからも変化し続けるはずです」
また、この賞は、「ミッドキャリア(職歴の中途)」の定義が流動化していることも示唆していると言える。以前は40代から60代の受賞者が多かったが、今年はその範囲外のアーティストがかなり多い。今回の受賞者の中には、最近になって作品が評価され始めた80歳の画家メアリー・ラブレス・オニールや、デトロイトのアートシーンの伝説的存在でありながら、まだ主要な美術館で展覧会を開催していない86歳のシャーリー・ウッドソンもいる。
アノニマス・ワズ・ア・ウーマンは、助成金を通じて、過去の受賞者たちとともに認知を高めてきた。アンターバーグは、「私たちの知名度が上がれば上がるほど、アーティストたちもより成功していく」と話し、匿名の寄付によって通常より多くの助成金を提供できるようになったことを挙げた。
2022年のアノニマス・ワズ・ア・ウーマンの助成金受賞者は、以下の通り。
ミカ・カルデナス博士(Dr. micha cárdenas、45歳、カリフォルニア州)― インスタレーション/彫刻/AR(拡張現実)
シド・カーペンター(Syd Carpenter、69歳、ペンシルバニア州)― 彫刻
イリーナ D. セルバンテス(Yreina D. Cervántez、69歳、カリフォルニア州)― 絵画/ドローイング、壁画
ドナ・コンロン(Donna Conlon、56歳、パナマ)― 多分野にわたる活動
アビゲイル・デヴィル(Abigail DeVille、41歳、ニュージャージー州)― インスタレーション/彫刻、絵画、セットデザイン
レズリー・ヘウィット(Leslie Hewitt、45歳、ニューヨーク)― 写真、彫刻
ベアトリス・サンティアゴ・ムニョス(Beatriz Santiago Muñoz、50歳、プエルトリコ)― 映画/ビデオ(動く画像)
メアリー・ラブレス・オニール(Mary Lovelace O’Neal、80歳、カリフォルニア州)― 絵画/ミクストメディア
ジョーン・クイック=トゥ=シー・スミス(Jaune Quick-to-See Smith、82歳、ニューメキシコ州)― 絵画/版画制作
ウェンディ・レッド・スター(Wendy Red Star、41歳、オレゴン州)― 写真、絵画ドローイング
ミラ・ショア(Mira Schor、72歳、ニューヨーク州)― 絵画
コリーン・シンプソン(Coreen Simpson、80歳、ニューヨーク州)― 写真/デザイン
カーマン・ツェー(Ka-Man Tse、41歳、ニューヨーク)― 写真/ビデオ
フィロメナ・ウィリアムソン(Philemona Williamson、70歳、ニュージャージー州)― 絵画
シャーリー・ウッドソン(Shirley Woodson、86歳、ミシガン州)― 絵画
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