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ドレイクが約140億円を投じて伝説的アートイベントを復活!

1987年にドイツ・ハンブルクで開催された、移動遊園地式の現代アート展「ルナルナ」。キース・ヘリングバスキアダリヨーゼフ・ボイスリキテンスタインなど豪華なアーティストが参加した伝説的な展覧会が、35年の時をを経て、よみがえろうとしている。

1987年に開催されたルナルナの会場風景。 Courtesy LUNA LUNA.

ルナルナ復活は現代アーティストとゆかりが深いポップ界の大スター、ドレイクの尽力によるものだという。そのいきさつは、11月15日の『ニューヨーク・タイムズ』で語られている。 

ルナルナは、1980年代後半にウィーンのアーティスト、アンドレ・ヘラーによって企画された。彼は幸運にも、当時活躍していた主要なアーティストたちに、遊園地のアトラクションを作ってもらうことができた。キース・ヘリングはメリーゴーランド、バスキアは観覧車、ロイ・リキテンスタインはフィリップ・グラスの音楽が流れる迷路のような作品を制作している。しかしルナルナは、物流や金銭的な問題で暗礁に乗り上げ、最後はヘラーが作品を売却して、何十年も倉庫で保管されていたのである。 

2019年、クリエイティブディレクターのマイケル・ゴールドバーグは、ルナルナに関するブログ記事を偶然発見した。そして、ドレイクのビジネス・マネジメントチームであるドリームクルーとルナルナ復活を計画し、音楽フェスティバルを主催するライブ・ネーションや、テート・モダン、ロサンゼルス現代美術館(MOCA)、キッチン・アンド・ザ・シェッドなど、アート界のパートナーを引き入れた。 

復活計画は、単に作品を倉庫から出して修復するだけでなく、現在活躍中のアーティストが制作した新しい遊具を加えて巡回型アトラクションにしようというものだ。ドレイクは、これまでに1億ドル近くをこのプロジェクトに投資している。 

ルナルナのキュレーターディレクターには、2018年からパフォーマンスNPO「Performa」のキュレーター兼学芸課長を務めるキャシー・ノーブルが就任。これらの作品を管理していくことになる。 

このプロジェクトには、やや悲劇的な展開もあった。1987年当時の企画者であったアンドレ・ヘラーは、バスキアがルナルナのために描いたいくつかのスケッチを、バスキア風に額装して新たなアート作品に仕上げ、バスキアのものとしてTEFAFで300万ドルで売ろうとしたのだ。フェアでは売れなかったものの、最終的には80万ドルでコレクターに買われた。 

この一件についてヘラーは「子どもじみたいたずらである」と主張したが、美術品偽造を理由に重い処分を受ける可能性がある。ルナルナのチームは、ヘラーがプロジェクトに関わるのは適切ではないとして、彼をチームから外している。(翻訳:編集部) 

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