ファレル・ウィリアムスが伝説の女性画家ヒルマ・アフ・クリントの作品をNFT化! 「美しく意義深い芸術は真に時代を超越する」
神秘主義者で抽象画の先駆者として知られる人気画家、ヒルマ・アフ・クリントの作品がNFT化され、ファレル・ウィリアムスが創設したプラットフォームで販売が行われた。
ヒルマ・アフ・クリント作品のNFT化は、人気ラッパーのファレル・ウィリアムスが立ち上げたNFTプラットフォーム、GODA(Gallery of Digital Assets)と、2022年にアフ・クリントのカタログ・レゾネ(*1)を出版したストルペ出版、そしてVR・AR制作会社のアキュート・アートのコラボレーションによって実現した。
ファレルは声明で、「美しく意義深い芸術は真に時代を超越する。ヒルマ・アフ・クリントの作品はまさにその好例だ。このプラットフォームで作品を展示し、彼女の卓越した才能を称えることができるのを光栄に思う」と述べている。
NFT化されたのは、アフ・クリントが1906年から15年にかけて制作した「Paintings for the Temple(神殿のための絵画)」シリーズだ。193点の絵画からなるこのシリーズは、スウェーデンの非営利団体ヒルマ・アフ・クリント財団の管理下にあり、どの作品も販売の対象にはなっていない。今回のNFTプロジェクトでは、制作チームが作品をNFT化して販売する許可を得て実現した。
アフ・クリントは生前、このシリーズ作品を展示するための神殿を建てたいと願っていた。今回のコラボプロジェクトは、これをデジタルで叶えた形だ。
アキュート・アートのアーティスティック・ディレクター、ダニエル・バーンバウムは、声明でこう語った。「ヒルマ・アフ・クリントは、彼女の作品の中でも最も重要で、圧倒的な美しさを持つ『Paintings for the Temple』シリーズを一覧できる、大きな螺旋形の建物を建てたいと夢見ていました。アキュート・アートとストルペ出版は、アフ・クリントの神殿をバーチャルリアリティ上で実現したのです」
このプロジェクトでは、シリーズを構成する絵画の作品数と同じ全193点のNFTが制作された。このうち163点はGODAプラットフォームで11月14日〜17日に行われたオークションに出品され、残りの30点は、GODA曰く「プロモーションや戦略上の理由から」非売品となっている。
西洋美術史における最初の抽象画家のひとりとされているアフ・クリントだが、最近まで彼女の業績を知る人は多くなかった。しかし、2018年にニューヨークのグッゲンハイム美術館で行われた回顧展で国際的な注目が集まって以来、人気が高まっている。(翻訳:野澤朋代)
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