シアスター・ゲイツがオバマ大統領センターに新作を制作。黒人の生活と歴史を描くインスタレーション

オバマ財団は、2026年春にシカゴのサウスサイドで開館予定の「オバマ・プレジデンシャル・センター(OPC)」に設置されるコミッションワークとして、アーティストのシアスター・ゲイツに新作の制作を依頼したことを発表した。ゲイツが同センターのために手がける作品は、黒人の生活と歴史を描く記念碑的なインスタレーションとなる予定だ。

2018年6月21日、ドイツのシュプレンゲル美術館で開催された展覧会でのシアスター・ゲイツ。Photo: picture alliance via Getty Image

オバマ財団は、2026年春にシカゴ南部で開館予定の「オバマ・プレジデンシャル・センター(OPC)」に設置されるコミッションワークのひとつとして、地元シカゴを拠点に活動するアーティスト、シアスター・ゲイツに新作の制作を依頼したことを発表した。

ゲイツの新作は、OPC内のペンドルトン・アトリウムに設置される予定だ。同アトリウムは、2013年にオバマ大統領の2期目就任式に参加した数日後、銃撃事件によって命を落としたアフリカ系アメリカ人の女子高生、ハディヤ・ペンドルトンの名を冠した空間で、公共イベントの会場として使用される。

ゲイツはこの場所に、シカゴを代表するアフリカ系アメリカ人向け雑誌「エボニー」と「ジェット」のアーカイブを中心に据えたインスタレーションを設置する。両誌は長年にわたり、彼の芸術活動における重要なインスピレーションの源であり続けてきた。

CNNによれば、この作品は黒人の生活と歴史を描く記念碑的な肖像となるという。ゲイツは、エボニーとジェットの版元であるジョンソン・パブリッシング・カンパニーが所蔵する膨大な写真アーカイブから選んだ20点のイメージに加え、アフリカ系アメリカ人の文化や都市、コミュニティ、日常の風景を記録してきた写真家、ハワード・シモンズの作品を用いる。それらをアルミニウム合金に印刷して建築装飾の一種であるフリーズ(浮き彫り装飾帯)にし、壮大な二部構成として仕上げる予定だ。

作品は、豊かな文化的歴史を持つ大通り、ストーニー・アイランド・アベニューに面した、通行人の目に触れる場所に設置される。この通りには、ゲイツが設立した非営利団体リビルド・ファウンデーションの活動拠点のひとつであり、ギャラリーとアーカイブ空間を兼ね備えたストーニー・アイランド・アーツ・バンクも所在している。

リビルド・ファウンデーションは、ゲイツが長年取り組んできた、土地や文化資産への投資を通じた創造的な自己決定と地域再生の実践を制度化する形で、2009年に設立された。歴史的建造物や空き物件をギャラリースペースやアーティストの住居、コミュニティスペースへと転用し、そこで多様なイベントを開催することで、学びと創造が循環する地域づくりを進めてきた。またゲイツは、約10年にわたってジョンソン・パブリッシング・カンパニーの画像および定期刊行物の管理に携わるなど、シカゴの芸術的遺産と深く関わってきた。

今回のコミッションについて、ゲイツは声明で次のように述べている。

「民主主義の灯台とも言うべきオバマ・プレジデンシャル・センターのために新たな作品を制作するというコミッションを受け、大きな名誉に感じています。この場所は、私たちが創造的な自己決定のための手段として土地や文化資産に投資してきた地域から、ほんの数ブロックの距離にあります」

「これらの視覚的な歴史が持つ力を、新たな文脈の中にしっかりと根付かせ、私たちのコミュニティを形作ってきた集団的な意志を思い起こさせたいと考えています。記憶を守り、私たちが何者であり、何を目指していくのかを形作り続ける民主的な理想に貢献する上で、アーティストがますます重要な役割を担っているこの時代に、この歴史的な空間に関われることは、非常に大きな意味を持つのです」

また、オバマ財団のCEOであるヴァレリー・ジャレットは声明で次のように語った。

「私は25年前、彼がシカゴ交通局で初のトランジット・アーツ・プランナーを務めていた頃からシアスターを知っています。尽きることのない創造性、公共芸術への献身、芸術を他者と共有しようとする情熱、そして歴史を現在へと翻訳する才能は、彼を比類なき存在にしています。世界中からセンターを訪れる人々は、彼の作品に圧倒されるでしょう。同時に、シカゴ南部出身の私たちは、自らのコミュニティが、常に受けるに値してきた世界水準の評価へとさらに高められていく姿を見ることになるのです」

(翻訳:編集部)

from ARTnews

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