ウォーホル財団が57団体に6億円超を助成。NEA解体後の逆風下、対象を20%拡大
アンディ・ウォーホル視覚芸術財団が、全米17州およびワシントンD.C.の57団体に対し、総額400万ドル(約6億3000万円)超の助成金を拠出することを明らかにした。トランプ政権下で芸術分野への公的資金が急減するなか、同財団は、「アートのエコシステム基盤は大きく弱体化している」と危機感を示している。
ニューヨークに拠点を置くアンディ・ウォーホル視覚芸術財団(The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts)は、2025年秋締切分の助成金受給団体57組織を発表した。今回の助成総額は400万ドル(約6億3000万円)超にのぼる。
同財団は、数十年にわたりアートおよびカルチャー分野の組織に対し、2年間のプログラム支援や展覧会支援、キュラトリアル・リサーチ・フェローシップなど多岐にわたる支援を提供してきた。例えば2025年は、2年間プログラム支援において受給団体に6万〜18万ドル(約900万〜2800万円)を、展覧会支援においては3万5000〜10万ドル(約500万〜1600万円)を提供した。
今回の助成対象団体は、17州およびワシントンD.C.にまたがっており、ヒューストン現代美術館(Contemporary Arts Museum Houston)、インディペンデント・キュレーターズ・インターナショナル、アンソロジー・フィルム・アーカイブズといった老舗機関から、シアトルのミニ・マート・シティ・パークやワシントンD.C.のトランスフォーマーといったアーティスト主導の組織まで幅広い。さらに、シアトルのパス・ウィズ・アーツ、デンバーのアクセス・ギャラリー、テキサス州ガルベストンのアーティスト・レジデンシー、カンザス州ウィチタのハーヴェスター・アーツなど、20団体が今回初めて同財団から支援を受ける。
また、主要アート都市ではなく地方都市や地域コミュニティでアート活動を行う団体も選出されており、ミネソタ州ウィノナのアート・オブ・ザ・ルーラル、ニューヨーク州リヴィングストン・マナーのキャッツキル・アート・スペース、オクラホマ州タルサのリヴィング・アーツ・オブ・タルサ、テネシー州ノックスビルのトライスター・アーツ(ロケート・アーツ)などが含まれる。さらに、国際的な2団体として、キーウの現代美術NGO美術館と、ベイルートのレバノン造形芸術協会アシュカル・アルワンも支援対象となった。
助成対象となった展覧会には、アディソン・アメリカ美術館でのチン・ホー・チェン、サウスフロリダ大学現代美術館でのジゼラ・コロン、ボストン現代美術館でのレイラ・バビリエなど。ほかにも、ニューヨークのアメリカズ・ソサエティで開催される「テレノベラス」、セントルイスの「カウンターパブリック2026トリエンナーレ」、ノースマイアミ現代美術館での「ライト・カムズ・ソフトリー:触覚の物質的アーカイブ」といったグループ展も名を連ねている。
同財団のプログラム・ディレクター、レイチェル・バーズは声明で次のように述べた。
「(支援対象に選出された)大小さまざまなアート組織は、ますます不安定な状況にあるにもかかわらず、自らの使命に忠実であり続け、またアーティストに提供する批評的、キュラトリアル、コミュニティのリソースを着実に拡充しています。私たちは、彼らが育んできた芸術的実験精神を称えるとともに、困難な時代を切り拓くなかで、アーティストの視点が“見られ、聞かれ、対話される”ための場を提供していることに感謝します」
アメリカのアート組織は今、トランプ政権が全米芸術基金(NEA)を解体したことにより主要な資金源のひとつが失われ、財政的に深刻な状況に直面している。ウォーホル財団の前回の助成(2025年春期)締切は3月1日で、NEAが助成金を全面的に打ち切る約2カ月前だった。
一方、締切が2025年9月1日だった今回(2025年秋期助成)は、アート組織側が資金調達の目処をより明確に把握した上で応募することができた。その結果、同財団への応募件数は通常より約40%増加し、助成対象団体の数も約20%拡大したという。
同財団の理事長であるジョエル・ワックスは、声明で次のように述べている。
「政府による視覚芸術への支援削減に加え、政治的・経済的不確実性によって文化インフラが不安定化したことで、アートのエコシステム全体を支える基盤は大きく弱体化しました。その結果、アーティストとその活動を支える組織には、これまでにないほどの重圧がのしかかっています。わたしたちは今、彼らの重要な仕事を支援し、力づけるという財団のコミットメントをいっそう強めています」
助成対象団体の全リストはこちらから。
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