美術界とエンタメ界がさらに接近。エイミー・シェラルド、大谷翔平も名を連ねる米最大手CAAと契約

アフリカ系アメリカ人の生活を描いてきた画家エイミー・シェラルドが、クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー(CAA)と契約した。CAAはトム・クルーズスティーヴン・スピルバーグ、大谷翔平らを擁する、アメリカを代表する巨大タレントエージェンシーの一つだ。

エイミー・シェラルド。Photo: Amy Davis/Baltimore Sun/Tribune News Service via Getty Images

画家のエイミー・シェラルドが、アメリカを代表する巨大タレントエージェンシー、クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー(CAA)と契約した。

1973年、ジョージア州コロンバスに生まれたシェラルドは、クラーク・アトランタ大学で絵画を学士課程として修め、メリーランド美術大学(MICA)で修士号(MFA)を取得した。日常の中で出会ったアフリカ系アメリカ人を主題に、静謐で親密な肖像画を描くスタイルを確立し、徐々に注目を集めるようになる。2016年には《Miss Everything(Unsuppressed Deliverance)》で、ワシントン・ナショナル・ポートレート・ギャラリー(NPG)主催のアウトウィン・ブーチェヴァー肖像画コンペティションにおいてグランプリを受賞。これは同賞において、女性として、またアフリカ系アメリカ人として初の受賞だった。

シェラルドのキャリアを決定づけたのは、2018年、当時のファーストレディであったミシェル・オバマから依頼を受け、ワシントン・ナショナル・ポートレート・ギャラリーのために制作した公式肖像画だ。この作品では、淡い青色の背景の前に、顎を手に載せた思索的なポーズのミシェル・オバマが、グレースケールで描かれている。彼女が着用するドレスは、アラバマ州ジーズ・ベンドで主にアフリカ系アメリカ人女性たちによって制作されてきたキルトを参照した、デザイナー、ミシェル・スミスによるミリー・ドレスだ。

国家の公式肖像画としては異例の表現だったが、柔らかな色調と簡潔な背景によって人物の内面的な重みを前景化するという点で、この作品はシェラルド特有の視覚言語に忠実なものだった。その結果、肖像画は美術館の枠を超えてメディアやSNSでも広く取り上げられ、社会的に注目を集めることとなった。

2021年6月18日、イリノイ州シカゴのアート・インスティテュート・オブ・シカゴで公開されたエイミー・シェラルド作のミシェル・オバマの公式肖像画。Photo: Scott Olson/Getty Images

2018年からハウザー&ワースに所属したシェラルドは国際的に幅広く展覧会を開催しており、その作品はクリスタル・ブリッジズ・アメリカ美術館、ロサンゼルス・カウンティ美術館、イギリスのテート・ミュージアム・ネットワークなど、数多くの美術館のコレクションに収蔵されている。2025年には、アフリカ系アメリカ人の現代作家として初めてワシントン・ナショナル・ポートレート・ギャラリーで個展を開催する予定だったが、検閲をめぐる論争の結果、彼女はこの展覧会を中止した。

本展には、黒人トランスジェンダーとして描かれた自由の女神像を主題とする絵画《Trans Forming Liberty》も出品される予定だった。しかしシェラルドは、同館を管轄するスミソニアン協会幹部の判断により、トランプ大統領の不興を買うことを避けるために本作が展示から撤去される可能性があると知り、この決断に至ったという。2025年1月から続くトランプ政権は、芸術分野における保守的な再編を優先事項として掲げており、国家の視覚的遺産を管理するスミソニアン協会はその象徴的な対象となってきた。この絵画はその後、ニューヨーカー誌の表紙を飾っている

今回シェラルドが契約を結んだCAAは、1975年に、著名なエージェントでトップ200コレクターでもあるマイケル・オーヴィッツら5人によって設立された。メリル・ストリープ、トム・クルーズスティーヴン・スピルバーグビヨンセといった俳優や映画監督、音楽家のほか、大谷翔平(MLB関連の代理業務)など、分野を横断するスターをマネジメントする、世界最大級かつ最も影響力のある総合タレントエージェンシーの一つだ。

近年、CAAやユナイテッド・タレント・エージェンシー(UTA)といったアメリカの巨大タレントエージェンシーは、現代美術家の誘致にも力を入れており、CAAにはすでにジュリアン・シュナーベルやアーサー・ジャファが所属している。同社は単なる「仕事の仲介」にとどまらず、キャリア全体の設計、大型契約や権利ビジネスの交渉、さらには映画・テレビ・出版・ブランド・美術館といった異分野の接続を得意としてしている。CAAとの契約を通じて、シェラルドは美術界の枠を超え、さらに多様なプロジェクトに関わり、より広い観客層へとリーチしていくことになるだろう。(翻訳:編集部)

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