アンダーグラウンド、巨大彫刻──ブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオが語るアート愛とコレクション
俳優のブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオは、映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド( Once Upon a Time in Hollywood )』のプロモーションでクエンティン・タランティーノとパネルトークを行った後、コメディアン・俳優であるマーク・マロンの人気ポッドキャストWTFに出演し、アートについて語り始めた。
アートの話題になったのは、マロンが今や元恋人となった米国を拠点に活動する画家、サラ・カインを話題にしたことがきっかけだった。
「最後に会ったのは、アートバーゼルのパラマウントの会場だったよね?」マロンがピットに振ったが、アートバーゼルではなく、別のアートフェアの、フリーズ・ロサンゼルスのことだった。
マロンが、その時に紹介したサラ・カインともうカップルではないことを打ち明けると、ピットが質問をぶつけてきた。「彼女の作品はどう思う?」
「私はとても好きだったよ」とマロンは答えた。「抽象的な作品は、うまくいくかいかないか、いちかばちかという部分がある。つまり、あなたは抽象的な人なんでしょ?抽象的なアートは好き?」
ピットは「私はたくさんのアートが好きなんだ。ここにいる私の兄弟もそうです」とディカプリオにうなずきながら言う。
ディカプリオは、彼が「カウンター・ヒッピー文化のゼリッグ(*1) 」と呼ぶ父親から芸術を学んだことを、色鮮やかに語ってくれた。「彼はロサンゼルスで『Pus Mobile 』という名の壊れた黄色いステーションワゴンでコミック本の販売をしていて、仕事によく連れて行ってくれた。僕の少年時代のすべての週末は、トラックでコミック専門店やマリファナ用品店を回って、デュランデュランのポスターや『The Fabulous [Furry] Freak Brothers 』、『Cherry Poptart 』などのコミックを売っていた。ドゥー・ダー・パレード(*2)に行き、アンダーグラウンドのアーティストたちとつるんで育ったんだ」
*1 ウディ・アレン監督の映画『カメレオンマン』のヒーロー、レオナルド・ゼリックから、カメレオンのようにいたるところに出没する人物のこと。
US版『ARTnews』のトップ200コレクターにも選ばれるほどのアートコレクターであるディカプリオがコレクションしているアーティストに話が及ぶ。それは1960年代のアンダーグラウンド・コミックス創始者の1人であるロバート・ クラムと、ロウブロウ・アート・ムーブメントを巻き起こしたロバート・ウィリアムズだ。
クラムの作品について、ディカプリオは、「幸運にも、2点手に入れることができた。彼はアンダーグラウンドのアートシーンから人気が出て、実際に......成功したんだ」 と話した。
マロンはウィリアムズが2015年に自分の番組に出演したことに言及。彼が成功を得られなかったと話すと、ディカプリオは、「彼はニューヨークでアートディーラーのトニー・シャフラジと一緒にいた時期があるんだ。でも、ロサンゼルスのアンダーグラウンドアートシーン出身者が、移り変わりの激しいニューヨークで成功しようとするのは、とても厳しいと思う」と意見を述べた。
続いてマロンはピットに、芸術家トーマス・オウセアゴの大きな彫刻を自宅に置いているかどうか質問した。「確かにそうだ」とピットは答える。「そして、それが好きなんだ」。
どのような美術品に惹かれてコレクションしているのかと尋ねると、ピットは「コレクション」という言葉には抵抗があるという。「決して、投資として作品を買っているのではない。ただ、私が心を動かされ、毎日そばにいたくなるようなもの、そしてそれが私の子どもたちにインスピレーションを与えるかもしれないもの、そんなものを集めています。ただ、トーマスの作品の中には、子どもたちを怖がらせるものもあるかもしれないけどね」
マロンがピットに、最近、彫刻家としての活動を続けているかと尋ねると、「ずっと独自に活動している。彫刻は時にとても協力的なスポーツであり、時にとても孤独な、瞑想的な作業だと思う」 とコメントした。
マロンのWTFはこちらでお聴きいただけます。(翻訳:編集部)
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