ソウルのポンピドゥー・センター分館が6月オープン。開館記念展にはキュビスムの巨匠が集結

ソウルポンピドゥー・センター分館が、6月4日に開館を迎える。同センターの大規模改修による長期休館中に主要所蔵品を海外展開するプロジェクトの一環で、韓国の有力財閥ハンファグループの文化財団とのパートナーシップで実現した。

フランスのマクロン大統領夫妻、カトリーヌ・ペガール文化相、ハンファ生命のキム・ドンウォン社長などが出席して行われたポンピドゥー・センター・ハンファ・ソウルの開館式(2026年4月3日撮影)。Photo: Ludovic MARIN / AFP via Getty Images

計画発表から3年、ソウルに「ポンピドゥー・センター・ハンファ」がついにオープンする。開館日は、フランス韓国の国交樹立140周年にあたる6月4日に定められた。韓国メディアの報道によると、開館記念展にはパブロ・ピカソジョルジュ・ブラックを中心としたキュビスム展が開催される。

韓国ハンファグループのフィランソロピー部門であるハンファ文化財団とポンピドゥー・センターの共同事業として設立された同館は、ポンピドゥーが「星座」と表現する国際文化事業における最新の星に位置付けられる。近頃発表されたプレスリリースによると、ブリュッセルの「KANAL–ポンピドゥー・センター」も今年11月に開館を予定している。

4月3日には、フランスのエマニュエル・マクロン大統領夫妻、同国のカトリーヌ・ペガール文化相、ポンピドゥー・センターのローラン・ル・ボン会長が開館を控えたポンピドゥー・センター・ハンファを視察した。フランスの文化省と欧州・外務省の肝入りで進められたハンファとの提携は、この3者によって2023年夏に締結され、フランスのメス、スペインのマラガ、そして上海に拠点を持つポンピドゥーの新たなネットワーク拡大が明らかになった。こうした海外展開は、パリのポンピドゥー・センター本館が5年間にわたる大規模改修工事で休館する間のプロジェクトとして進められている(本館の再開予定は2030年)。

ハンファ文化財団との合意に基づく美術館は、ソウル・汝矣島(ヨイド)のランドマーク、63ビルに新設された。設計に起用されたのは、フランスの建築家ジャン=ミシェル・ウィルモットだ。韓国の聯合ニュースが2023年に報じたところでは、ハンファが「契約条件に基づいて合意された貸出料やその他の費用」を支払うという。一方、ハンファは当時の声明で、4年の提携期間中にポンピドゥー・センターが「同センターのコレクションから選りすぐった作品で年2回、計8回の企画展を開催する」と述べている。また、契約にはハンファが4年間ポンピドゥーのブランドを使用する権利や、契約延長のオプションが含まれる。

2023年にソウルとの合意が成立する1週間前、ポンピドゥー・センターのル・ボン会長はサウジアラビアとも提携を結び、同国北西部の砂漠地帯にある新しい文化拠点アルウラに現代美術館を建設する計画を最終決定した。サウジアラビアや韓国に開設される分館は、5年間の休館期間中、同センターを潤す資金源になると見込まれている。ソウル進出の第一報を伝えた仏ル・モンド紙によると、ハンファはポンピドゥー・センターのブランド使用権を得るために2000万ユーロ(最近の為替レートで約37億円、以下同)を支払ったという。

しかし、ポンピドゥー・センターの海外進出計画が全て実現したわけではない。今年2月には、5年前から計画されていたアメリカ・ニュージャージー州ジャージーシティの分館建設が正式に中止された。このプロジェクトでは過去にも、地元政治家の反対運動で数カ月間にわたり問題が紛糾する事態があった。そして、今年1月15日に新市長に就任したジェームズ・ソロモンが、2026年の市の財政赤字が2億5500万ドル(約403億円)に上ることを明らかにし、分館が計画されていた場所が低価格住宅になる可能性があるとのニュースが報じられていた。

2月にソロモン市長は、「ポンピドゥーの計画は実施しない。はっきり言って、もう終わった話だ」と記者団に述べている。(翻訳:石井佳子)

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