オノ・ヨーコの《Play It By Trust》をプレイできる! チェス対戦サイトがコラボレーションを発表

オノ・ヨーコが1966年に発表したコンセプチュアル作品《Play It By Trust》が、オンラインチェス対戦サイト「Chess.com」に登場した。全て白で構成された盤と駒によって対立の構造を揺さぶるこの作品は、実際にプレイ可能なデジタル体験として再構成され、反戦や共感のメッセージを現代のオンライン空間へ拡張している。

1967年、《Play It By Trust》をプレイするオノ・ヨーコ。Photo: WATFORD/Mirrorpix/Mirrorpix via Getty Images

オノ・ヨーコが1966年に発表したコンセプチュアル作品《Play It By Trust》が、オンラインチェス対戦サイト「Chess.com」に登場したとArtsyが報じた。

このコラボレーションは、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの音楽に着想を得た短編アニメーション映画『War Is Over!』(2023)のオンライン公開に連動して実施された。同作は、戦場で敵対する2人の兵士がチェスを通じて交流する物語だ。ゲームの公開はオノの93歳の誕生日である2月18日に発表され、オノ自身も4月9日にXでこの取り組みを投稿している。

《Play It By Trust》は1966年、ロンドンのインディカ・ギャラリーで発表された。通常は白と黒で構成されるチェスを、すべて白い盤と駒に置き換えることで、勝敗を競うゲームの前提を覆している。プレイヤーは次第に自分の駒を見分けられなくなり、対局は困難になる。オノはこの作品について、「自分の駒がどこにあるか覚えていられる限りプレイできるチェスセット」と説明しており、そこには相互の信頼や協力、さらには新たなルールの創出を促す意図が込められている。

香港のM+は本作を、オノの長年にわたる反戦活動を体現する力強い例のひとつと位置づけ、競争的なゲームであるチェスを、白という平和の象徴によって共同的な実験へと変換する試みだと説明している

Chess.comでは、このチェスセットを用いて「デジタルのオノ」と対戦することができる。対局中、オノは一手ごとに、「白いチェスセットは、ある意味で人生そのものだ。全ての駒が白いため、自分の駒を常に意識しなければならない」「まるで互いに理解し合おうと努める人生の局面のようだ」といった示唆に富む言葉を投げかける。ゲームが進むにつれて駒の識別は難しくなり、戦略が立てにくくなる。結果負けてしまうと、「気にすることはない。対局していても私たちは味方どうし。勝ち負けにこだわる必要はない」とプレイヤーを慰めてくれる。

これまでもChess.comは、DJのスティーヴ・アオキやテニス選手のカルロス・アルカラスなど、著名人をモデルにした対戦相手を導入してきた。しかし今回のオノとのコラボレーションは、単なるキャラクターの追加にとどまらず、作家の代表的な作品そのものをゲーム体験として取り込んでいる点で、極めて画期的な試みだと言える。

あわせて読みたい