プッシー・ライオットが初のフルアルバムを発表へ。MVにはヴェネチア・ロシア館前での抗議も
フェミニスト・パンクロック・アート集団のプッシー・ライオットが、初のフルアルバム『CYKA(スーカ)』を6月12日に発表する。リードシングル「DISOBEY」のミュージックビデオには、ヴェネチア・ビエンナーレのロシア館前で行われた抗議活動の様子も使用されている。

フェミニスト・パンクロック・アート集団のプッシー・ライオットが、6月12日に『CYKA(スーカ)』と題されたフルアルバムを発表する。同グループは今年、ヴェネチア・ビエンナーレの開催に合わせてロシア館に異を唱える展覧会を開き、ビエンナーレの会場内でも抗議活動を行った。アルバムのリードシングル「DISOBEY」のミュージックビデオには、その記録動画が使用されている。
アーティストであり活動家でもあるナジェージダ・トロコンニコワが2011年に結成したプッシー・ライオットは、これまで『MATRIARCHY NOW』(2022)や『xxx』(2016)といったミックステープやEPをリリースしてきた。一方、フルアルバムの発表は今回が初めてとなる。トロコンニコワはArtnet Newsに対し、かつてフルアルバムの制作を進めていたものの、2012年にモスクワの教会で撮影したミュージックビデオ「Punk Prayer(パンクの祈り)」を公開したことでメンバー数人が投獄され、アルバムは未完成のまま終わったと語り、こう続けた。
「私たちはアート界の出身で、架空のパンクバンドを立ち上げるというパフォーマンス・アートから始まった集団でした。そのため、音楽業界からは部外者として扱われてきました。また、2016年にもアルバムをリリースする予定でしたが、メインストリームに寄り過ぎていることに嫌悪感を覚えてしまい、逃げ出してしまったんです」
トロコンニコワは、ロサンゼルス現代美術館(MOCA)での10日間にわたるパフォーマンス《Police State》終了後に『CYKA』の制作に取り掛かり、楽曲を書き上げたあと、自宅のスタジオでレコーディングを進めた。アルバムには、シンガー・ソングライターのセイレム・イリースや、ヘヴィメタル・バンドのアヴェンジド・セヴンフォールドも参加している。アヴェンジド・セヴンフォールドと制作した「Candy Dopamine」は6月1日にリリースされており、この楽曲についてトロコンニコワはこう語っている。
「この曲は、処方薬や危険ドラッグへの依存をめぐるカルチャーに対する、愛憎入り交じった歌のようなものです。出発点にあったのは、私自身の抗うつ剤への依存でした。同時に、薬や注射に頼りながら、メンタルヘルスや外見を極限まで向上させようとする現代人の姿もテーマにしています。ただし、これはその文化を批判する曲ではありません。私自身、PTSDやうつ病と向き合うために、こうした薬と長期的に付き合っていかなければならないという実体験がありますから」
これ以外にも、ウラジーミル・プーチン大統領がプッシー・ライオットを罵倒する音声がサンプリングされた楽曲もある。トロコンニコワは、6月14日にホワイトハウスで開催される総合格闘技イベント「UFC Freedom 250」に合わせ、プーチン大統領に対してケージマッチを申し込んでいる。彼が負けた場合には、ウクライナからの撤退を要求している。