米韓の美術館パートナーシップが始動。ホー・ツーニェンが1万キロを結ぶ新作を制作へ

ニューヨークニューミュージアム韓国の蔚山(ウルサン)市立美術館が、このほどパートナーシップを締結。アジアを代表する現代アーティストの1人、ホー・ツーニェンへの委託作品で共同プロジェクトを開始する。

ホー・ツーニェン《T for Time: Timepieces》(2023-現在)、南フランスのリュマ・アルルでの展示風景(2025年撮影)。Photo: Courtesy New Museum, New York

6月23日、ニューヨークニューミュージアム韓国の蔚山市立美術館が、複数年にわたるパートナーシップを発表した。これは、ヒョンデ(現代自動車)が主導する「ヒョンデ・トランスローカル・シリーズ」の一環で、1万キロ近い距離を超えたコラボレーションがスタートすることになる。

その第一弾として、シンガポール出身のマルチメディア・アーティスト、ホー・ツーニェンが新作コミッションワークを制作する。この作品は、OMA / 重松象平+レム・コールハースの設計で3月にオープンしたニューミュージアム新館のガラス張りのエレベーター内と、釜山の北に位置する蔚山(ウルサン)の両方で展示される予定だ。

ホーは今、アジアで最も注目されているアーティストの1人。2011年のヴェネチア・ビエンナーレにシンガポール代表として参加し、マルチチャンネルによるビデオインスタレーション《The Cloud of Unknowing(未知なる雲)》を発表した。この作品でホーは、南アジアおよび東南アジアの伝承や歴史に西洋の文化的要素(著名な芸術家から聖典まで)を織り交ぜ、時に不安を感じさせるような表現を意図的に用いている。

2024年にはCHANEL Next Prize(シャネル・ネクスト・プライズ)を受賞。また、それまでのキャリアを振り返る回顧展がシンガポール・アート・ミュージアム(SAM)で開催され、アニメーションから映画、パフォーマンスまで、20年にわたる作品が一堂に会した。さらには、今年9月に開催される2026年光州ビエンナーレの芸術監督に、アーティストとして初めて就任している。

ニューミュージアムのリーガン・グルーシー館長代理と蔚山市立美術館のイム・チャンソプ館長は、共同声明で次のように述べている。

「物理的な距離を超えて両都市が持つ独自の文化的・環境的背景を共有し、現代アートにおけるグローバルとローカルのせめぎ合いを共に探求するヒョンデ・トランスローカル・シリーズに参加できることを大変嬉しく思います」

2025年に発足したヒョンデ・トランスローカル・シリーズは、共同コミッション、レジデンスプログラム、巡回展を通じて世界中の芸術機関を結びつけることを目的とした10年間のプロジェクトだ。韓国の清州工芸ビエンナーレ、アラブ首長国連邦のアブダビ音楽芸術財団、イギリスのウィットワース美術館など、参加機関は拡大を続けている。

共同声明はこう続く。「このコラボレーションは、両都市とそれぞれのアートコミュニティをつなぐ架け橋となり、1つの場所の枠を超えて私たち全てを結びつける多層的な現実を、これまでの常識を覆す体験として鑑賞者に提供する新たな芸術作品を生み出すでしょう」(翻訳:石井佳子)

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