フィリップス時計部門が春季売上を牽引──パテック・フィリップ「Ref. 2499」が約16億円で落札

オークションハウスのフィリップスが、今春の好調な業績を発表した。オークション総売上高は821億円で、前年同期比60%増。特に目覚ましい成績を上げたのが時計部門だ。

F.P. ジュルヌの「クロノメーター・ア・レゾナンス『スースクリプション No. 007』」が約22億5000万円で落札された瞬間。Photo: Courtesy Phillips

7月7日、フィリップスは春のオークションシーズンの総売上高が、前年同期比60%増の5億700万ドル(最近の為替レートで約821億円、以下同)になったと発表。時計部門が記録破りの業績を上げ、特に高額品への需要が堅調だったことが、近年における最大級の売り上げにつながったとしている。

同社によると、ロットあたりの平均落札額が前年同期比で55%増となった一方で、ロットベースのセルスルー率は90%を維持している。イブニングセールでは、ロットベースのセルスルー率が94%、金額ベースでは99%を記録し、予想最低価格に対する落札価格の比率は165%に達した。

時計部門の売上高は2億3550万ドル(約382億円)に上り、今春のオークション総売上高のほぼ半分を占めた。これは、同社の事業における時計部門の重要性が増していることを示している。同社によると、ジュネーブでのオークションが過去最高の売り上げを記録したほか、ニューヨーク香港の時計オークションも、それぞれの地域における記録を更新したという。

フィリップスの最高経営責任者(CEO)マーティン・ウィルソンは声明で、「この結果は市場の堅調さを示すだけでなく、過去1年間に当社が企業として成し遂げた進歩を反映しています」とコメント。業績好調の要因として、出品物の質の高さ、参加者の世界的な広がり、そして需要が持続していることを挙げた。

今回の結果は、オークション市場全体で買い手による品定めがより厳しくなる中で達成されている。たとえば、サザビーズクリスティーズで最近開催されたイブニングセールでは、美術館クラスの作品は活発な競り合いとなるものの、平凡な作品に対しては極めて厳しい評価が下される傾向が浮き彫りになった。

フィリップス自体のデータでも、同様の傾向が示されている。同社によると、シーズン全体のセルスルー率がロットベースで90%を維持する一方、1ロットあたりの平均落札額は前年比で55%増加した。

今春の好業績を牽引した中には、1800万ドル(約29億2000万円)の値が付いたジョン・L・ローブ・ジュニア元大使のコレクションや、複数のカテゴリーで合計1420万ドル(約23億円)の売上を記録した故ティナ・ヒルズのコレクションなど、いくつかの重要な出品があった。しかし、2つのコレクションを合わせても、前年同期比で約1億8800万ドル(約305億円)の増加となったオークション売上高のほんの一部に過ぎない。なお、ティナ・ヒルズのコレクションは、年内に追加の出品が予定されている。

今春、フィリップスの美術品部門で最高額を記録したのは、アンディ・ウォーホルの《Sixteen Jackies(16のジャッキーの肖像)》だった。これはニューヨークで開かれた近現代アートのイブニングセールで、1620万ドル(約26億2000万円)で落札されている。時計部門で特に注目されたのはF.P. ジュルヌの「クロノメーター・ア・レゾナンス『スースクリプション No. 007』」で、ニューヨークで1390万ドル(約22億5000万円)で落札。さらに香港では、パテック・フィリップの希少な「Ref. 2499」に8040万香港ドル(約16億6000万円)の値が付いた。

フィリップスの発表では、新規コレクター層の拡大が続いていることも示されている。今春の購入者のうち、初めての購入は前年同期の36%から40%に上昇。ミレニアル世代とZ世代のコレクターが入札者および購入者の3分の1を占め、これも前年同期の25%から増加した。また、オンラインで販売された作品の割合は前年同期の62%から70%近くにまで達している。(翻訳:石井佳子)

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