サザビーズが最新の市場分析リポートを発表。盛り上がるアジア系と若年層コレクター
3月14日、サザビーズが2018年から2022年のオークション分析リポートを発表した。2022年の落札額で、最も伸びた価格帯は2000万ドル(約26億円)以上となり、100万ドル(1億3000万円)以上の価格帯の総販売の45.2%を占めたという。
リポートを共同作成した、アート市場分析会社ArtTacticは、2018年から2022年に行われたサザビーズ、クリスティーズ、フィリップスのオークションから、印象派、モダン、オールドマスターズ、現代アートのカテゴリーの販売データ、サザビーズのプライベートセールス部門からの情報を分析した。
100万ドル(約1億3000万円)以上の購買層は総販売額の4%に過ぎないが、「対象となるカテゴリーの販売額全体の74%を占めている」と報告書は指摘している。100万ドル以上の美術品の個人売買の総額は、2022年には10億5000万ドル(約1390億円)となり、ピークである2020年の14億1000万ドル(約1870億円)から減少したものの、2019年の売買総額8億350万ドル(約1064億円)と比べると、30.8%も増えている。
その背景には、コロナ禍直前のアジア系コレクターの盛り上がりと、X世代(1960年代中盤から1970年代終盤に生まれた世代)やミレニアル世代(1980年代序盤から1990年代中盤までに生まれた世代)の落札者の増加の2点が挙げられる。
サザビーズによると、100万ドル以上の落札者の約3分の1(32%)はアジアのコレクター。この層は、中国伝統絵画や美術品を購入する傾向にあったが、2018年から2022年にかけて、現代アート(総落札者の18%)、印象派・近代作品(17%)を購入するようになったという。報告書によると、「これまで最多だった北米の入札者数にアジア勢が追いつく勢い(34%)で、総入札者の29%を占めるヨーロッパを上回った」という。
100万ドル以上の市場における入札者の年齢層は、2022年には40.6%とベビーブーマー世代(1950年から1964年頃までに生まれた世代)が依然として最大だが、2020年の48%から低下している。一方で、ミレニアル世代の入札者は、2018年の7%から2022年には16%に拡大した。(翻訳:編集部)
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