古代エジプトの12星座を描いた壁画群を発見。ライオンの仮面に翼とサソリの尾を持つ射手座レリーフも
ドイツ・テュービンゲン大学の考古学者は、エジプト観光・古代遺産省の協力のもと、ナイル川西岸のエスナに約2000年前に建設された神殿から、12星座を描いた古代エジプト時代の壁画を発見した。
かつてテーベと呼ばれていたルクソール市近郊にあるエスナの神殿では、長らく考古学者たちによる修復作業が行われてきた。考古学者らが5年の歳月をかけて神殿の壁画にちり積もった汚れを取り去るにつれ、鮮やかな色のレリーフが現れたという。
今回の発見についてテュービンゲン大学のダニエル・フォン・レクリングハウゼン博士は、プレスリリースで次のように話している。
「これまでの調査で、星座モチーフで装飾された、個人の墓や石棺のほか、星座占いが刻まれた陶器の破片が発見されており、当時の人々にとって星座は重要なものだと分かっています。しかし、神殿の装飾で使用される例はまれです。 エスナを除けば、完全に保存されているのは、デンデラにある2点のみです」
12星座は、古代オリエント文明の中心地、バビロニアに起源を持つが、世界各地に多様な占星術の伝統が存在する。エジプトには、古代ギリシャ人が北アフリカに建国したプトレマイオス朝の後期に伝えられている。
エスナの神殿には12星座がすべて描かれていた。中でも興味深いのは、例えば射手座は、現代では弓矢を持ったケンタウロスとして表現されているが、古代エジプト版では、ライオンの仮面を被っており、翼とサソリの尾を持っている。
レリーフにはそのほか、惑星ジュピター(木星)、サターン(土星)、マーズ(火星)や、雄羊の頭を持つ蛇、ワニの頭を持つ鳥、翼を持つ蛇などの幻獣も描かれている。(翻訳:編集部)
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