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占星術とアートの2万年の歴史を振り返り! ラスコーの壁画からミュシャ、黒人解放のシンボルまで

  • 2022年12月1日
  • INTERNATIONAL

Text: Karen Chernick

人類は2万5000年も前から月の周期を知り、古代エジプトでも天体の動きに基づく暦を用いていた。その歴史は、洞窟壁画が示す通り、アートによって記述されてきた。星座の神秘を感じさせる占星術とアートの関係を見ていこう。

月と木星の間に位置する射手座の射手を描いた彩飾写本の細密画(1250年頃、イラク)。Photo: History/Universal Images Group via Getty Images

占星術(アストロロジー)は星の位置によって占いを行うもので、生まれた時の星座の位置から、その人物の性格や未来を知ることができるとされている。つまり、占星術を信じる者にとっては、これからの人生はどうなるのか、これまでどんな運命を辿ってきたのかを示す指針となり得る。これは、天体の物理的性質などを研究する科学の一分野、天文学(アストロノミー)とはまったくの別物だ。

西洋占星術は、紀元前1900年頃から紀元前1700年頃のメソポタミアにその起源があると考えられ、12の星座ごとに人の性格が異なるとされる。また、アジアなど別の文化圏でも独自の占星術が発達した。

たとえば中国では、紀元前5世紀頃の戦国時代に、太陰暦による12年周期をもとにした占星術が流行した。子(ねずみ)や酉(とり)、辰(たつ)など12の動物で象徴される十二支だ。インドの占星術は、西洋と同様、天体を12分割したものにカルマ(因果応報)というヴェーダ(古代インドで編簒された宗教文書の総称)の考え方を加えている。西洋占星術のように決まった日付ではなく、星座の実際の位置に基づいて12の室が決められるという。

そして、占星術と同じくらい古くから、占星術のイメージを取り入れたアートが生み出されてきた。その中から13の例を紹介しよう。

1. ラスコーの洞窟壁画(紀元前1万7000年-紀元前1万5000年)

ラスコーの洞窟壁画(後期旧石器時代:紀元前1万7000年-紀元前1万5000年、フランス)。Photo: Getty Images

ラスコーの洞窟壁画には天体現象や星座を描いたものがあると考えられている。画像は「雄牛の広間」の壁画。

2. 占星術の十二宮を表したハトホル神殿の天井(紀元前30年-紀元後30年頃)

占星術の十二宮を表したハトホル神殿の天井(紀元前30年‐紀元後30年頃、エジプト)フランス軍のエジプト遠征中に行われた研究、第4巻21版(1817年、パリ)。Photo: De Agostini Picture Library via Getty Images

エジプトのルクソール郊外にあるデンデラ神殿群の1つ、ハトホル神殿に残された天体図のレプリカ。ジョロワとルヴィリエのデッサンに基づくルイ=ジャン・アレのレリーフ。

3. アブドゥル・ラフマーン・アル・スーフィー『星座の書』(964年頃)

アブドゥル・ラフマーン・アル・スーフィー『星座の書』(964年頃)。Photo: Bodleian Library, Oxford, England/Wikimedia Commons

おおぐま座を描いた図像。ブワイフ朝(932年頃‐1062年)の時代に活躍したペルシア人の天文学者、アブドゥル・ラフマーン・アル・スーフィーの『星座の書』(964年頃)より

4. ランブール(リンブルク)兄弟《Très Riches Heures du Duc de Berry(ベリー公爵の豊かな生活)》(1411年-1416年頃)

ランブール(リンブルク)兄弟《Très Riches Heures du Duc de Berry(ベリー公爵の豊かな生活)》(1411年‐1416年頃) Photo: Wikimedia Commons

中央の人物を囲むように西洋占星術の十二宮を描いたランブール(リンブルク)兄弟の作品。

5. ヤン・ブリューゲル(子)《God Creating the Sun, the Moon and the Stars in the Firmament(天空に太陽、月、星を造りたもう神)》(1650年頃)

ヤン・ブリューゲル(子)《God Creating the Sun, the Moon and the Stars in the Firmament(天空に太陽、月、星を造りたもう神)》(1650年頃)

ヤン・ブリューゲル(子)が創世記(旧約聖書の第1書)に示された天地創造の4日目を描いたもの。画面向かって右の弧の中に十二宮が描かれている。

6. ジョン・シンガー・サージェント《Pagan Gods(異教徒の神々)》(1895年)

ジョン・シンガー・サージェント《Pagan Gods(異教徒の神々)》(1895年)。Photo: Boston Public Library

ジョン・シンガー・サージェントによるボストン公共図書館の壁画《Triumph of Religion(信仰の勝利)》の一部。エジプトの女神ネイトが、十二宮を示す黄金の首飾りとともに描かれている。

7. アルフォンス・ミュシャ《Zodiac(黄道十二宮)》(1896年)

アルフォンス・ミュシャ《Zodiac(黄道十二宮)》(1896年)。Photo: Corbis via Getty Images

アルフォンス・ミュシャの作品。横を向いた女性の周りに西洋占星術十二宮の絵が描かれている。

8. ヒルマ・アフ・クリント、《Group IX/UW, The Dove, No. 14(グループIX/UW、鳩、14番)》(1915年)

ヒルマ・アフ・クリント《Group IX/UW, The Dove, No. 14(グループIX/UW、鳩、14番)》(1915年)。Photo: Wikimedia Commons

スウェーデンの抽象画家で神秘主義者のヒルマ・アフ・クリントの作品。画面の四隅に十二宮の記号が配されている。

9. アーネスト・プロクター《Zodiac(十二宮図)》(1925年)

アーネスト・プロクター《Zodiac(十二宮図)》(1925年)

アーネスト・プロクターの作品。乙女座、射手座、さそり座など、十二宮の星座が具象的に描かれている。

10. ジョセフ・コーネル《Pavilion(パビリオン)》(1953年)

ジョセフ・コーネル《Pavilion(パビリオン)》(1953年) Photo: Copyright © 2022 The Joseph and Robert Cornell Memorial Foundation / Licensed by VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York.

アッサンブラージュ(既製品や廃品を寄せ集めて美術作品を作成する技法)の先駆者の1人、ジョセフ・コーネルの立体作品。奥に星座の絵が描かれている。

11. ベティ・サール《Mystic Window for Leo(獅子座のための神秘の窓)》(1969年)

ベティ・サール《Mystic Window for Leo(獅子座のための神秘の窓)》(1969年)。Photo: Robert Wedemeyer. Courtesy of the artist and Roberts Projects, LosAngeles

ジョセフ・コーネルに影響を受けた作家、ベティ・サールによる獅子座の絵を組み入れた立体作品。

12. マーティン・ウォン《Gemini(双子座)》(1985年)

マーティン・ウォン《Gemini(双子座)》(1985年)。Photo: Courtesy of the Martin Wong Foundation and P.P.O.W., New York

ロウアーマンハッタンの街を愛したマーティン・ウォンの作品。2人組の消防士と星座を示した夜空が描かれている。

13. ノーラン・オズワルド・デニス《Ecliptic (Black Liberation Zodiac)(黄道〈黒人解放の十二宮〉)》(2017年)

ノーラン・オズワルド・デニス《Ecliptic (Black Liberation Zodiac)(黄道〈黒人解放の十二宮〉)》(2017)。Photo: Courtesy of the artist and Goodman Gallery, Johannesburg

南アフリカ出身のアーティスト、ノーラン・オズワルド・デニスの作品。黒人解放運動の象徴である拳や銃、本などを十二宮のように並べている。(翻訳:石井佳子)

from ARTnews

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