今週末に見たいアートイベントTOP5:ヴィヴィアン・サッセンが探る変身と女性性、台湾と日本のモダニズムの交差
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. 「瀧口修造 書くことと描くこと」(アーティゾン美術館)
詩人・批評家から造形作家への道のりをたどる
瀧口修造(1903–1979)は、詩作や美術批評、展覧会の企画などを通じて、20世紀の日本美術を形づけた。シュルレアリスムへの関心から美術に接近し、1930年にはアンドレ・ブルトンの『超現実主義と絵画』の翻訳・刊行も担当。戦後は読売アンデパンダン展やタケミヤ画廊の活動にも携わり、1958年のヴェネチア・ビエンナーレでは日本館のコミッショナーと審査員を務めた。1960年頃からは評論活動を控え、自身でドローイングや水彩などの制作に取り組むようになった。
本展では、石橋財団が近年収蔵した瀧口の造形作品163点のうち、約半数を一挙に公開。1920年代からの詩作や、1930年代以降の美術評論など「書く」活動を振り返りながら、1960年頃から本格化した「描く」活動への移行をたどる。さらに、ポール・セザンヌ、ジョアン・ミロ、マルセル・デュシャン、草間彌生ら関連作家の作品も石橋財団コレクションから出品し、瀧口が近代以降の美術に向けた視線をたどる。「エットレ・ソットサス—魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」も同時開催。
「瀧口修造 書くことと描くこと」
会期:6月23日(火)〜10月4日(日)
場所:アーティゾン美術館 5・4階展示室(東京都中央区京橋1-7-2)
時間:10:00〜18:00(金曜は20:00まで、入場は30分前まで )
休館日:月曜
2. 「やきもの名品紀行-中国・日本・朝鮮半島-」(根津美術館)
東アジアやきもの探訪の旅へ
同館が所蔵する約2300件のやきものから、厳選された名品が紹介される。展示室1では中国、展示室2では日本、展示室5では朝鮮半島の陶磁器を取り上げ、それぞれの地域で発展してきた技法や造形をたどる。中国では唐三彩や青磁、白磁、青花など、日本では中国や朝鮮半島の技術を背景に発展した江戸時代の陶磁器など、各地域の作品を通して東アジアにおけるやきものの展開を紹介する。
見どころは、重要文化財の尾形乾山作《銹絵染付金彩絵替土器皿》や、肥前の《色絵三果文稜花皿》、朝鮮時代15世紀の《粉青象嵌牡丹文厨子》など。3つの展示室を巡りながら、技術や意匠だけでなく、それぞれの土地で育まれた陶磁文化の違いを体験できる構成となっている。
「やきもの名品紀行 -中国・日本・朝鮮半島-」
会期:8月15日(土)〜10月12日(月祝)
場所:根津美術館 展示室1・2・5(東京都港区南青山6-5-1)
時間:10:00〜17:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(10月12日を除く)
3. 「共時的星叢──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」(東京都現代美術館)
台湾と日本の近代芸術を、異なる時代とジャンルから読み直す
1930年代の台湾で結成されたモダニズム詩のグループ「風車詩社」を描いた映画『日曜日の散歩者』(2017)を起点に、近代の台湾と日本の文化芸術を捉え直す。映画を監督した黄亜歴(ホアン・ヤーリー)をゲストキュレーターに迎え、台湾近代美術の作品約200点、日本の作品約100点に加え、文学や音楽、演劇、舞踏などに関する資料約500点を紹介する。
会場では、美術作品や文芸、映画、音楽、演劇、舞踏などの資料をモンタージュのように組み合わせた6つの章で構成される。陳澄波、黄土水、林玉山、郭雪湖ら台湾近代美術の作家に加え、日本の作家による作品も並ぶ。さらに台湾の原住民族に関わる資料も紹介。空間設計は台湾を拠点とするUxU Studioが担当し、反射する素材や動線を取り入れることで、作品や資料、鑑賞者の視線が交差する展示空間が広がる。
「共時的星叢──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」
会期:9月5日(土)〜12月13日(日)
場所:東京都現代美術館 企画展示室 1F/3F(東京都江東区三好4-1-1)
時間:10:00〜18:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜、10月13日、11月24日
4. ヴィヴィアン・サッセン「Myriads」(The Mass)
多様なイメージが交差する、ヴィヴィアン・サッセンの現在
ヴィヴィアン・サッセン(1972年生まれ)は、オランダ・アムステルダムを拠点に活動する写真家。幼少期を過ごしたアフリカで培った色彩感覚をもとに、静物やポートレート、風景などを撮影し、幾何学的な形態や身体表現の抽象化を取り入れた独自の写真表現を展開してきた。ファッション写真の分野でも活動し、ミュウミュウ、ルイ・ヴィトン、ディオールなどのキャンペーンや、『VOGUE』や『PURPLE』などの雑誌撮影を手がけている。2011年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)の「New Photography」、2013年には第55回ヴェネチア・ビエンナーレにも参加している。
日本では2年ぶりとなる本展では、日本初公開となる未発表作品に加え、長期にわたって制作を続けているシリーズ「Frau Holle」を紹介。フォークローレのモチーフを用いた本シリーズは、写真やコラージュなどのメディアを掛け合わせ、女性性と変身を探求する。タイトル「Myriads」についてサッセンは、「万華鏡のような、無数の可能性を示す言葉としても気に入っています。場所、顔、生きているもの、そして塵—写真がもたらす、尽きることのない可能性を表しているのです」と語る。
ヴィヴィアン・サッセン「Myriads」
会期:9月5日(土)〜11月8日(日)
場所:The Mass(東京都渋谷区神宮前5-11-1)
時間:12:00〜19:00
休廊日:月火
5. 梅田哲也「合図/Sign」(オオタファインアーツ)
梅田が仕掛ける「案内されないツアー」
梅田哲也(1980年生まれ)は、空間の構造や周囲の環境、そこに蓄積された歴史に着目し、現地にあるものや光、音、風、水などの現象を取り入れたインスタレーションやパフォーマンスで知られる。美術館や劇場だけでなく、使われなくなった商業ビルや古民家、洞窟、山頂、水辺など、その場所固有の条件を生かした作品を国内外で発表している。
本展は、同ギャラリーにおいて2011年の「待合室」以来15年ぶりの個展となる。一室にインスタレーションを展開し、持ち込まれたものだけでなく、展示室そのものも作品を構成する要素として扱う。梅田は今回の展示を「案内されないツアー」と呼び、決められた順路を設けず、一つの空間にとどまりながら、そこにあるものを「合図」として受け取り、想像を巡らせる場をつくる。
梅田哲也「合図/Sign」
会期:9月12日(土)〜10月24日(土)
場所:オオタファインアーツ(東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル3F)
時間:11:00〜19:00
休廊日:日月祝
























