フランク・ロイド・ライト設計の住宅が約3億3200万円で売り出し。18年間の放置を経て大規模修復

ミシガン州カラマズー近郊で、フランク・ロイド・ライト(1867–1959)が設計し、初代所有者夫妻も建設に携わったユーソニアン住宅が売り出された。18年間放置された後に大規模修復された邸宅で、希望価格は210万ドル(約3億3200万円)。

サミュエル&ドロシー・エプスタイン邸。Photo: © Jdg Innovative and Tim Hills

フランク・ロイド・ライトが設計した「サミュエル&ドロシー・エプスタイン邸」が、アメリカ・ミシガン州カラマズー近郊のゲイルズバーグで売りに出されている。Designboomが伝えた。

1953年に完成した同邸は、ライトが全体計画を手がけた共同住宅地「ジ・エーカーズ」に建つ。同地区は、製薬会社アップジョンに勤務する科学者たちのために計画されたもので、約28ヘクタールの敷地には、ライト設計のユーソニアン住宅(一般家庭向けに考案された機能的な住宅)4棟が現存している。

エプスタイン夫妻は、住宅の建設に自ら携わった。サミュエルとドロシーはともにアップジョンで研究職に就いており、ドロシーは第2次世界大戦中、女性航空部隊「Women Airforce Service Pilots(WASP)」に所属し、軍用機を操縦した経験を持つ。

夫妻は、建設に用いられた約3000個のコンクリートブロックの一部を自ら製造。また、ライトが当初提示した設計案に対し、子ども部屋を広くすることや、キッチンを拡張して窓を設けることなどを求めた。ライトも夫妻の要望を受け入れ、設計を変更したという。

サミュエル&ドロシー・エプスタイン邸。Photo: © Jdg Innovative and Tim Hills
サミュエル&ドロシー・エプスタイン邸内部の様子。Photo: © Jdg Innovative and Tim Hills
サミュエル&ドロシー・エプスタイン邸内部の様子。Photo: © Jdg Innovative and Tim Hills
サミュエル&ドロシー・エプスタイン邸内部の様子。Photo: © Jdg Innovative and Tim Hills
サミュエル&ドロシー・エプスタイン邸。Photo: © Jdg Innovative and Tim Hills

2016年には、当時カナダ・オンタリオ州に暮らしていたマリカ・ブルーレとトニー・ヒレブラントが同邸を購入した。2人はライト設計の住宅を探していたわけでも、ミシガン州で物件を購入するつもりだったわけでもなかった。しかし、18年間にわたって空き家となり、老朽化が進んでいたにもかかわらず、室内に差し込む光や大きな窓、建物と周囲の景観との一体感にたちまち魅了されたという。

購入後、2人は1年半以上をかけて大規模な修復に取り組んだ。屋根を交換したほか、コンクリートブロックとマホガニー材を補修し、電気・配管設備を更新。排水問題への対処や空調設備の導入も行った。建築後に増設されたプールは、ライトの当初の設計に含まれていなかったため撤去した。ブルーレは一連の修復について、次のように語っている

「私たちは単に住宅を購入したのではありません。芸術作品の管理を託されたのだと感じました」

物件情報によると、同邸の延べ床面積は約232平方メートルで、寝室3室と浴室2室を備える。造り付け家具は建築の一部として残され、この家に受け継がれてきたライト設計の家具も置かれている。

床には、ライトが好んだ「チェロキーレッド」と呼ばれる赤褐色のコンクリートが使用され、その下に床暖房が組みこまれている。直線状に部屋が連なる間取りに沿ってコンクリート床が延び、外壁と同じコンクリートブロックが内壁にも用いられている。窓枠やドアにはマホガニー材が使われ、ライトの建築に特徴的な素材と色彩が随所に残されている。

現在、同邸はシグネチャー・サザビーズ・インターナショナル・リアルティを通じ、210万ドル(約3億3200万円)で売り出されている

あわせて読みたい