フランク・ロイド・ライト設計の邸宅が10億円で売り出し中! 自然光あふれる物件の特徴は?
アメリカ・オクラホマ州で、希少価値の高いフランク・ロイド・ライト設計の邸宅が修復され、売りに出された。
フランク・ロイド・ライトは、アメリカ・オクラホマ州に3つの建築を残した。今回売りに出されたのはその1つで、タルサのバーミンガム南3704番地にある壮麗な邸宅だ。1929年に、ライトの従兄弟でタルサ・トリビューン紙の発行人であったリチャード・ロイド・ジョーンズのために建てられたもので、ライト独特のテキスタイル・ブロック工法が使われている。
この物件はライトの設計した住宅の中でも最大級で、6000平方メートルの敷地に建つ邸宅の面積は約970平方メートルある。また、オクラホマ州の3つのライト建築の中で最も古く、バートルズビルにある他の2つより数十年早く建てられた。5ベッドルーム、4.5バスルームを有する歴史的な邸宅の売り出し価格は、800万ドル(約10億6000万円)だ。
ウェストホープと名付けられたこの邸宅は、正方形のガラス窓とコンクリートのテキスタイル・ブロックが交互に配置され、内部が見通せるような斬新なファサードが目を引く。ライトの住宅設計で、プレーリースタイルとユーソニアンハウスの間の時期に建てられたコンクリート住宅は数が少ないため、ウェストホープは希少な存在でもある。
この建築のすばらしさが凝縮されているのが玄関ホールだ。中でも特徴的なのは、過剰とも言えるほど自然光を取り入れていることにある。ライトは、5200枚のガラスパネルをコンクリートブロックに組み込み、柱状に配置することで、垂直方向に光が差し込み、屋外の景観が屋内の装飾に感じられるようなパターンを作り出している。
自然の美しさを生かすライト建築の特徴は、全て同じ素材でできた作り付けの家具にも表れている。長椅子や本棚、ダイニングルームのバーは、ライトがデザインした一点物だ。また、この邸宅用に作られたものではないが、ダイニングテーブルと椅子も揃っている。さらに、ビンテージスタイルのキッチンには、モダンな家電とアイランド型の調理台が備え付けられている。
不動産会社、セージ・サザビーズ・インターナショナル・リアルティのロブ・アレンは、ロブ・レポート誌のメール取材にこう答えている。「息をのむ美しさなのは、ランタンルームと呼ばれる客間です。床から天井まで届くガラスパネル、折り上げ天井、そしてライトがデザインした照明を取り付けた窓が特徴で、部屋全体が光り輝きます。特に朝晩の輝きは壮観です」
購入を検討する際には、ゲストハウスとプールも要チェックポイントだろう。後者はライト設計の石柱と装飾のある裏庭に設置されている。
800万ドルのライト建築の傑作に関する詳細については、不動産会社のサイトをご覧いただきたい。ここから、担当のロブ・アレンにもコンタクトが取れるようになっている。(翻訳:石井佳子)
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