2026年シドニー・ビエンナーレのディレクターが決定!「あいち2025」芸術監督のフール・アル・カシミ
シドニー・ビエンナーレは、2026年3月7日から6月8日まで開催される第25回のアーティスティック・ディレクターに、アラブ首長国連邦出身のフール・アル・カシミを任命したと発表した。
オーストラリア・シドニーを舞台に2年に1度行われるシドニー・ビエンナーレは、現在第24回が6月10日までの日程で開催中だ。このほど、次回のアーティスティック・ディレクターに、フール・アル・カシミを任命したと発表された。
フール・アル・カシミは、2002年から中東地域最大の芸術祭シャルジャ・ビエンナーレのディレクターを務めるベテラン。2023年に開催されたシャルジャ・ビエンナーレ15では、キュレーターの故オクウイ・エンヴェゾール(1963-2019)が遺した構想を解釈し再構築する形で新しい展示を創り出し、賞賛を受けた。2009年からは、自身が設立したアラブ首長国連邦のシャルジャ・アート財団の会長兼ディレクター、2017年からは、国際ビエンナーレ協会の会長職にも就いている。そして2025年に開催される国際芸術祭「あいち2025」(旧称「あいちトリエンナーレ」)では芸術監督を務めることが決まっている。
アル・カシミはシドニー・ビエンナーレのディレクター就任にあたり、同ビエンナーレが発表した声明の中で、「シドニーには多文化コミュニティが中心にあり、世界中のさまざまな文化を持つ人々が、この活気ある都市に集まって、故郷としています。私は、地元アーティストやコミュニティと連携しながらこの街にある多面的な文化や視点を探求し、ビエンナーレに新しい声を届けたいと思っています」と抱負を語った。
ビエンナーレのバーバラ・ムーアCEOも、声明で次のように語った。
「コミュニティ、文化、繋がりはシドニー・ビエンナーレの核心であり、活気ある文化的景観にとって不可欠な要素です。私たちは第25回のアーティスティック・ディレクターにフール・アル・カシミを迎えることができ、大変嬉しく思います。彼女の国際的な芸術・文化交流の促進に対する大きな献身、キュレーターとしての実践と先見的なアプローチは、シドニー・ビエンナーレの芸術的方向性をリードするのに役立つでしょう。また、多様な声を増幅させ、地域社会との関わりを深めようとする彼女の姿勢は、アートが人々を結びつけ、有意義な方法で互いに学び合うプラットフォームを創り出すという私たちの使命とシームレスに繋がっています」
現在開催中の第24回シドニー・ビエンナーレでも、ディレクターのコスミン・コスティナシュとインティ・ゲレロの指揮のもと、まさしく多様性と地域社会に焦点を当てた展示が行われている。ステートメントによると、「Ten Thousand Suns」と題された今回の展示は、「先住民族や移民、クィアたちがあらゆる困難にも負けずに繁栄してきた歴史を振り返り、その喜びを広く分かち合う方法と、喜びの源としての『祝祭』を提案する」という。参加アーティストはフランク・ボウリング、マリアナ・カスティージョ・デボール、ロティミ・ファニ=カヨデ、チトラ・ガネーシュ、ジョシュ・クライン、キャンディス・リン、デーモン・メランコン、エリック=ポール・リエージュ、マーティン・ウォンなどだ。(翻訳:編集部)
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