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  • 2023.04.14

今週末に見たいアートイベントTOP5: ダミアン・ハーストら12作家のNFTを展示「超複製技術時代の芸術」、香川で好評の個展が東京に「今井俊介展」ほか

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

「YCC 展示プログラム 今井俊介」展示風景 YCC ヨコハマ創造都市センター 2015 photo:古屋和臣

1. 「超複製技術時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか?–分有、アウラ、超国家的権力–」展(GYRE GALLERY)

展示風景

NFTがアートに与える影響とは。ダミアン・ハーストら12作家の作品から考察

2021年3月、ビープルの《Everydays: The First 5,000 Days》がクリスティーズで75億円で落札され、世界を席巻するNFTアートブームが到来。2020年の始まりに起こった空前のNFTバブルは、仮想通貨の盛り上がりと共に瞬間的に高騰し、あっという間に崩壊した。キュレーターの高橋洋介が企画、飯田高誉が監修を手掛ける本展では、改めてNFTとは何なのかを振り返り、アーティストによるNFTを使った芸術的実験にスポットを当てる。

国内外12作家の作品を、「分有」「シミュラクラのアウラ」「超国家的権力」の3章構成で紹介。NFTが生み出す新しい意味と、価値のシステムについての問題を踏まえながら、未曾有の情報環境において現代のアーティストが果たす役割を検証・再定義し、仮想空間が及ぼす影響について模索する。参加アーティストは、ダミアン・ハーストラファエル・ローゼンダールルー・ヤン、レア・メイヤース、森万里子、高尾俊介(ジェネラティブマスクス)、チームラボ、ソル・ルウィット、セス・ジーゲローブ、幡正樹、施井泰平、鎌谷徹太郎。

「超複製技術時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか?–分有、アウラ、超国家的権力–」展
会期:3月24日(金)~5月21日(日)
会場: GYRE GALLERY( 東京都渋谷区神宮前 5-10-1 GYRE 3F)
時間:11:00 ~ 20:00 


2. Abstracting The Reality(GALLERY HAYASHI + ART BRIDGE)

太田桃香《春らんまん中》(2023)油彩、キャンバス、W91 × H116.7cm

若手作家2人が抽象表現で描く、日常の世界

1997年生まれの太田桃香、98年生まれの山下源輝による二人展。太田はキャンバスを主なメディアとし、自身の生活や日常を題材にしている。特に「山」に注目しており、山のある風景からレイヤーを抽出した抽象絵画は、鑑賞者それぞれに解釈が委ねられ、抽象芸術の崇高さを見ることができる。山下は、木炭やクレヨン、油、そして生活する中で出る廃材などの多様な素材を使って絵画やドローイング、彫刻などを制作。画面に直接指で線や面を描くことで、描くという行為の身体性を画面に残しながら、制作過程における予測不可能な現象や不安定さも含めて作品として形成していく。 

本展では、新作の抽象絵画と立体作品を展示する。若手作家2人が表現する「日常」の世界を追体験してもらいたい。

Abstracting The Reality
会期:4月7日(金)~4月23日(日)
会場:GALLERY HAYASHI + ART BRIDGE( 東京都中央区銀座7-7-16)
時間:11:00 ~ 19:00 


3. 王舒野 個展「認識以前の絶対的知覚次元へ」(東京画廊+BTAP)

会場風景

王舒野の知覚次元で体験する、銀座の街

1963年、中国黒龍江省に生まれ、現在は鎌倉と北京に拠点を構える画家、王舒野(ワン・シュウイエ)の同画廊2回目となる個展。王は、1990年代初頭から「認識以前の絶対的知覚次元」をめぐり、絵画の新たな視覚空間の可能性を探求し続けてきた。主に油彩や墨を用いて、画面上に無数の筆触とストロークを集積させていく王独自の手法は、深遠で静謐さをたたえた抽象的な景色を現出させる。

本展では、「時空ヌード・即」シリーズから、同画廊がある銀座の街を描いた新作9点を発表する。よく知られている事物を敢えて題材に取り上げ、認識からの離脱を試みる王の作品により、鑑賞者は、つい先ほど見た街の風景を、日常とは異なる知覚次元で体験する。また、多彩色への挑戦や、都会に特徴的な直線的要素を取り入れるなど、王の新たな試みを見ることもできる。

王舒野 個展「認識以前の絶対的知覚次元へ」
会期:4月8日(土)~5月20日(土)
会場:東京画廊+BTAP(東京都中央区銀座8-10-5 第4秀和ビル7F)
時間:12:00 ~ 18:00 


4. OKETA COLLECTION: TIME MIXED 〜 室町時代から現代、そして未来へ 〜(スパイラルガーデン)

展示風景

現代アートと古美術のコラボレーションから、芸術の可能性を探る

国内外のアートフェアやギャラリーに足を運び、無数の作品と出会う中で、⼀⽬惚れのように惹きつけられた作品をコレクションしてきた桶⽥俊⼆・聖⼦夫妻。夫妻は、2000年に⾻董のコレクションから出発し、2010年、草間彌⽣の作品との出会いをきっかけに現代アートの本格的な収集を開始した。今年は、コレクションを一般公開して5周年という節目を迎える。

本展では、桶田夫妻のコレクションの集大成とも言える、今注目される現代アーティストの作品と、古美術の数々を組み合わせて展示する。夫妻は、「移ろい激しい不安定な世相に誰もが翻弄されがちな、いま、このときだからこそ、アートに秘められた積極的な可能性を、みなさまとともに解き放てないものだろうか」語る。展示作家は、ダニエル・アーシャム、Hebru Brantley、井田幸昌、金巻芳俊、北大路魯山人、谷口真人、友沢こたおほか。

OKETA COLLECTION: TIME MIXED 〜 室町時代から現代、そして未来へ 〜
会期:4月8日(土)~4月23日(日)
会場:スパイラルガーデン(東京都港区南青山5-6-23 スパイラル1F)
時間:11:00 ~ 20:00 


5.  今井俊介 スカートと風景(東京オペラシティ アートギャラリー)

《untitled》2017年 アクリル・カンヴァス 高村みすず氏・美和氏蔵

現代を鮮やかな色彩で軽やかに切り取る、今井俊介の個展が東京に

鮮やかなストライプが印象的な絵画で知られ、具象と抽象、平面と立体、アートとデザインという境界を軽やかに行き来しながら、表現の探究を続けている今井俊介。独自のポップな色彩感覚で、波や旗のようにも見えるイメージを表現した代表的な絵画シリーズは、ある時ふと目にした知人の揺れるスカートの模様や、量販店に積み上げられたファストファッションの色彩に強く心を打たれた体験が原点となっているという。

本展は、2022年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催された、美術館では初となる個展を東京で再現する。東京展ではさらに、ストライプの絵画に至る過程ともいえる作品群を新たに追加。絵画を中心に、立体や映像、インスタレーションなど、さまざまな表現に挑戦してきた今井の初期から現在までの活躍を振り返る。

今井俊介 スカートと風景
会期:4月15日(土)~6月18日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(東京都新宿区西新宿 3-20-2)
時間:11:00 ~ 19:00 (入場は30分前まで)

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