ドクメンタ16がキュレーションチームを拡充。一方でガザ問題等をめぐり参加辞退の作家も

5年に一度ドイツで開催される国際的美術展ドクメンタは、2027年に第16回目を迎える。このドクメンタ16で芸術監督を務めるナオミ・ベックウィズが、4人の新たなキュレーションメンバーを指名した。昨年発表された、ドクメンタ史上初の女性だけのキュレーターチームを拡充するものになる。

左上から時計回りに:オセイ・ボンス、レイヴン・チャコン、ティメア・ユングハウス、ノーム・セガール。Photo: Clockwise, from top left: ©Gas Foundation; ©Neal Santos; ©Zoltan Adam; ©Samantha Casolari

10月29日、ドクメンタ16の芸術監督ナオミ・ベックウィズがキュレーションチームの拡充を発表した。レイヴン・チャコンが特別キュレーターを務め、オセイ・ボンス、ティメア・ユングハウス、ノーム・セガールがキュレーション顧問に就任する。

チャコンは北米先住民ディネ族のアーティストで、作曲家、ミュージシャンとしても活動し、2022年に先住民アーティストとして初めてピューリッツァー賞(音楽部門)を受賞。2017年には、アートコレクティブ「ポストコモディティ」のメンバーとしてドクメンタ14に参加した。

ボンスはガーナ系イギリス人の美術史家で、現在はロンドンのテート・モダンでアフリカおよびアフリカンディアスポラに関する国際的アート分野のシニアキュレーター職にある。

美術史家でキュレーターのユングハウスは、「ヨーロッパの(エスニックマイノリティである)シンティとロマの現代美術・批評的思考に関する分野の第一人者」と発表資料で紹介されている。2017年から25年までベルリンにある欧州ロマ芸術文化研究所の初代事務局長を務め、2007年にはヴェネチア・ビエンナーレ初のロマ・パビリオンのキュレーションを担当した。

セガールは、テクノロジーを用いた現代アートを専門とするキュレーター兼研究者だ。現在はニューヨークのグッゲンハイム美術館で、アソシエイトキュレーターおよびLGグッゲンハイム賞の選考委員を務めている。

今回の発表にあたり、グッゲンハイム美術館の副館長で、チーフキュレーターでもあるベックウィズはこう述べている。

「彼らのような卓越したクリエイターや研究者と共に仕事ができることを、非常に嬉しく思っています。4人の信念の揺るぎなさは、共同作業への取り組みにおいても同じです」

ベックウィズは昨年8月、女性だけで構成されるキュレーションチームを発表した。これは70年にわたるドクメンタの歴史初の決定で、メンバーに名を連ねるのはカーラ・アセベド=イェーツ、ロミ・クロフォード、マイラ・A・ロドリゲス・カストロ、シャオユー・ウェン(翁小雨)の4人だ。

次回のドクメンタ16は、2027年6月12日から9月19日までドイツ・カッセル市内の各会場で開催を予定。そのプレスリリースには、「本展および関連プログラムは、激動の世界を歩み、地球規模の不確実性の中で共に生きるための戦略や新たな可能性を切り拓こうとするアーティストたちに敬意を表するものです。即興、実験、そして集団的な学びが新たな道を開くでしょう」と記されている。

その一方、9月にベックウィズは独ディー・ツァイト紙に対し、ドクメンタ16への参加を打診されたうち複数のアーティストが辞退したことを明らかにした。その理由について彼女は、「ドイツでは、自分たちが見せたいものを自由に表現できないのではないかという印象を抱いているケースもあれば、ガザ地区の紛争に対するドイツの姿勢に批判的な作家もいます」と説明している。

前回、2022年のドクメンタ15では、展示や参加アーティストの一部に反ユダヤ主義的な傾向があると一部の政治家が主張して物議を醸した。これを受けてドクメンタ側は、反ユダヤ主義について明記した新しい行動規範を採択。その中で、イスラエルに対する批判は「人種差別的な試み」とされている。(翻訳:石井佳子)

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