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ルイーズ・ブルジョワの代表作《Spider》がオークションに。予想落札額は自己最高額の53億円

日本では六本木ヒルズのパブリックアート《ママン》で知られるルイーズ・ブルジョワの彫刻作品《Spider》(1996)が、5月にサザビーズ・ニューヨークオークションに出品されることが発表された。記録的な高値をつける可能性がある。

ルイーズ・ブルジョワ《Spider》(1996) Photo: Eduard Frainpont, Courtesy Sotheby's

今回オークションに出品される《Spider》は、2010年5月に98歳でこの世をさったルイーズ・ブルジョワの代表作だ。3000万ドル(約40億円)から4000万ドル(約53億円)の値がつくと予想されており、仮に予想落札価格の範囲内だったとしても、ブルジョワ作品のオークション最高額を打ち立てることになる。現在の最高額は、2019年5月開催のクリスティーズでのオークションで落札された《Spider》(1996)で、手数料を除いて2800万ドル(現在の為替で約37億円)だった。

さらに今回、この作品が予想落札価格以上で落札された場合は、女性作家の作品として史上最高額となる可能性も。現在の最高額は、2014年にウォルマートの相続人、アリス・ウォルトンが購入したジョージア・オキーフの絵画《Jimson Weed》(1936)で、手数料を除いて4440万ドル(現在の為替で約58億円)だ。

サザビーズによると、この《Spider》は、高さ10フィート(3メートル)、幅18フィート(5メートル)の巨大な作品で、1996年のサンパウロ・ビエンナーレで発表されたもの。その後、ブラジルの銀行、Itaú Unibancoの共同設立者で、アートコレクターのOlavo Setubalが購入し、同銀行の慈善事業部門であるFundação Itaúのコレクションに納められていた。

クモ嫌いの人にとっては、《Spider》の細く伸びた脚は悪夢のような存在かもしれないが、ブルジョワによれば、このクモは繊細なテーマ、特に母性の代名詞なのだという。

かつて、なぜクモをモチーフに用いたのかを聞かれたブルジョワは、「私の親友は母でした。母はクモのように思慮深く、忍耐強く、癒しを与え、合理的で、繊細で、きちんとしていて、なくてはならない存在でした」と語っていた。

ブルジョワの《Spider》は、世界中の公共スペースで展示され、ビルバオのグッゲンハイム美術館ニューヨークのディア・アート財団、オタワのカナダ国立美術館、ロンドンのテート・モダンなど、一流の美術館に収蔵されている。

サザビーズ・ニューヨークの現代美術部門責任者であるDavid Galperinは、「《Spider》は、世界中の文化施設で見られることから、誰もが知るグローバルなアイコンとなっています。それは近代彫刻の模範であり、国際化する現代社会の中での大きな象徴的存在なのです」(翻訳:編集部)

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