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  • 2022.11.17

環境活動家、カナダの美術館で絵画にメープルシロップをかける抗議行動

気候変動活動家による美術館での抗議行動が活発化する中、11月11日、今度はカナダバンクーバー美術館で、2名の環境活動家がエミリー・カーの絵画《切り株と空》(1934)にメープルシロップをかけ、糊で手を壁に貼り付けた。

11月11日、バンクーバー美術館で行われた気候変動活動家による抗議行動の様子。Courtesy Stop Fracking Around

抗議行動を行ったのはエリン・フレッチャーとエミリー・ケルソールで、ストップ・フラッキング・アラウンド(Stop Fracking Around)というグループのメンバーだという。

彼女らは、気候変動問題に対して警鐘を鳴らすと同時に、コースタル・ガスリンク・パイプラインの建設中止を要求。ブリティッシュ・コロンビア州政府が具体的な行動を起こさないことに不満を表明していた。 

11月14日、バンクーバー美術館は、絵画に深刻なダメージはないとしながら、この事件を「破壊行為」と呼んで非難する声明を発表した。

バンクーバー美術館の館長兼CEOであるアンソニー・キーンドルは、声明の中で「バンクーバー美術館、あるいはどの美術館においても、文化的に重要な美術品に対する破壊行為を非難する。私たちの使命の中心は、鑑賞者にコミュニケーションの機会とアイデアを与えるために、より安全な空間を作ること。私たちは、未来の世代のために記憶を継承し、ケアを提供する非営利の慈善団体です。私たちは表現の自由を支持しますが、他者のアイデアや芸術的表現を抑圧したり、人々がそれらの表現にアクセスすることを阻害する行為を容認してはなりません」と述べている。 

今回メープルシロップがかけられたエミリー・カーの作品は、同美術館の音声解説によると、商業化により、原生林が破壊されることに対するカーの嘆きが込められているという。 

抗議活動の対象となったガスパイプラインの会社であるコースタル・ガスリンクは、パイプラインの建設に必要なすべての許可を受けたと話す。しかし、669キロのルートは先住民であるウェットスウェテン族の土地であり、彼らは敷設を許可していない。これまでも、パイプラインの従業員、請負業者を立ち退かせようと何度も試みてきた。 

化石燃料の採掘に抗議するため、気候変動活動家が世界中で有名な美術品をターゲットにする抗議行動はもはや日常茶飯事となってきた。バンクーバー警察はCBCニュースに対して、今回は逮捕者は出ていないが、事件を調査中であると語っている。(翻訳:編集部) 

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