博物館のパーティで酔っ払いが兵馬俑の親指を窃盗。中国は厳罰を要求
アメリカ・フィラデルフィア州のフランクリン博物館で開催されたクリスマスパーティで、館内に展示されていた兵馬俑の親指を折り、盗んだ男が、30年の実刑判決を免れる司法取引に応じたと地元メディアPhilly Voiceが伝えている。
2017年のクリスマスに、フランクリン博物館閉館後に開催されたあえてダサい柄のセーターを着て集まる「ugly sweater(醜いセーター)」パーティに参加したマイケル・ロハナは、館内にある中国・秦(紀元前905-206年)の始皇帝の墓から発見された兵馬俑の展示室に入り込んだ。監視カメラの映像によると、接近防止のロープを越えて兵馬俑と自撮りした後、ロハナは兵士像の一部を壊していた。
後日、同館のスタッフが像の親指がないことに気付いて通報し、FBIによる捜査が開始。連邦捜査官はロハナの家宅捜索をおこない、引き出しに隠されていた親指を発見した。
ロハナに対して当初出された「博物館からの文化財の窃盗と隠匿」の罪状は、その後、司法取引により取り下げられた。ロハナは、4月17日に連邦裁判所で判決を受ける予定で、自宅のあるデラウェア州と博物館の所在地であるフィラデルフィア州との州間取引により、2年の刑期と2万ドル(約264万円)の罰金を伴う罪を認めることが予想されている。
BBCによると、2019年4月に行われた裁判でロハナの弁護士は、彼が親指を盗んだ当時酔っぱらっており、「若気の至り」による破壊行為だったと陳述。彼に厳罰を課すべきか否かで陪審員たちの意見は分かれ、無効審理となった。
被害に遭った像は、中国・陝西省文化遺産促進センターから同館に貸し出されたもの。中国の政府関係者は、兵馬俑の破壊と窃盗について「不注意である」として博物館を強く非難し、ロハナに厳罰を下すよう要請した。フィラデルフィア市議会は、今回の損害について、中国に公式の謝罪文を送っている。(翻訳:編集部)
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