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  • 2023.05.11

「都市の足元はまだ謎だらけ」──ロンドンで古代ローマ時代の要衝を発見

2000年前に古代ローマ人がイギリス・ロンドン(当時はロンディニウムと呼ばれていた)を守るために築いた2マイル(約3キロ)にわたる防御壁の一部がテムズ川近くで発見された。

古代ローマ時代の防御壁跡ではファッションショーが行われたことも。2021年9月21日撮影。Photo: RichardI Baker/In Pictures Via Getty Images

ロンドン考古学博物館(MOLA)の考古学者により発見されたこの壁は、ケンティッシュ産の大理石で作られていた。テムズ川周辺での発掘調査は1970年代に始まり、2006年から2016年にかけて、アッパー・テムズ・ストリートとローワー・テムズ・ストリート付近で、合計330フィート(約100メートル)におよぶ3つの大きな壁が発見されている。

今回は壁以外にも、133年に作られた木製の埠頭や岸壁も見つかった。それらの構造の状態は、ローマ帝国の支配下にあったイギリスにとって、ロンディニウムのインフラをいかに重要視していたかを示している。

アートネットニュースによると、これらの壁と港湾構造物は、イングランドの文化・メディア・スポーツ省によって最高レベルの遺産として認定されており、ロンドン塔の一部とともに、かつて高さ20フィート(6メートル)にもなった川岸の壁を示す重要な資料となる。

ヒストリック・イングランドの最高責任者であるダンカン・ウィルソンは、アートネットニュースに次のように語っている。

「2000年以上の歴史を持つ、ロンドンのような非常に密集した都市でさえ、足元にはまだ謎が埋まっています。川沿いの壁は、古代ローマ時代の興味深い遺物として、答えと同じくらい多くの疑問を投げかけています」(翻訳:編集部)

from ARTnews

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