ローサ&カルロス・デ・ラ・クルス(Rosa and Carlos de la Cruz)

拠点:アメリカ・フロリダ州キービスケーン
職業:コカ・コーラ系列ボトリング会社(プエルトリコ、カリブ海地域)
収集分野:現代アート

ローサとカルロス・デ・ラ・クルスは、10代の頃にキューバのハバナで出会った。ローサは建築家の祖父を持ち、カルロスは美術収集を趣味とする両親のもとに生まれている。ともに文化的な素養を持っていた2人は1962年に結婚し、以来マイアミでも有数の現代アートコレクション(相当数の戦後ドイツ絵画を含む)を築いている。

1000点をはるかに超える収集作品の多くは、2009年にマイアミに開設された約2800平方メートルのデ・ラ・クルス現代アートスペースに収蔵され、無料で公開されている。毎年12月に行われるアート・バーゼル・マイアミ・ビーチの期間中は、夫妻の最新コレクションを中心とした展覧会が開催され、多くの来場者で賑わう。

US版ARTnewsのメール取材に答え、夫妻は「さまざまなアーティストの作品から、収集の歴史を感じてもらえると思います。また、コレクションの土台となる作品群を現在の文脈の中で改めて鑑賞することができる場所です」と語った。

近年は、グレン・ライゴンの大作やヴォーン・スパンの抽象画、シャラ・ヒューズ、ザヴィエラ・シモンズ、クリスティーナ・クオールズといった作家の作品を入手するなど、その収集熱に衰える気配はない。また、イザ・ゲンツケン、クリストファー・ウール、フェリックス・ゴンザレス=トレス、マーク・ブラッドフォード、ピーター・ドイグなども所有している。

「私たちは、アイデンティティやジェンダー、階級、権力、そして社会基盤を形成する価値観の問題を追求しているアーティストの作品を集めています。また、展覧会の企画には、作家の声を取り入れるようにしています」と夫妻は説明する。

ペンシルベニア大学ウォートン・スクールのMBAとマイアミ大学の法学学位を持つカルロスは、現在マイアミ大学の上級理事として活動している。さらに、年商10億ドル(約1450億円)のボトリング・流通の巨人、CC1カンパニーズの会長職にあるほか、外交問題評議会のメンバーでもある。ローサは、CC1カンパニーズの取締役兼財務担当役員を務めている。

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