アメリカの博物館が、先住民の展示室閉鎖を決定。「人種差別を助長する内容を見直すため」
5月19日、コロラド州のデンバー自然科学博物館は、「人種差別のステレオタイプを助長する」として、アメリカ先住民の文化を紹介する展示室「北米インディアン文化ホール」を今夏閉鎖することを発表した。
閉鎖の情報は、まず同館のTwitter投稿で発表された。閉鎖理由については、「私たちは、先住民の文化や歴史、遺産を尊重するために、キュレーション、展示方法、資料収集、プログラム、保存について再検討することを約束します」と説明している。
次いで発表された同館の声明で、以下のとおり、閉鎖理由をより具体的に明かした。
「文化ホールは、北米の先住民を傷つける内容なので閉鎖します。現在、展示室にあるジオラマの先住民族は、過去にしか存在しないかのように描かれ、(政府の判断に関係なく)主権国家の不正確な名称を使用し、現在の先住民への同意や承認なしに彼らの持ち物を展示しています。その行為は、観客に人種差別の意識を植え続けることになるのです」
ここ数年、博物館だけでなく、美術館でも、先住民の芸術品や文化などの紹介方法を変えているところが増えている。その流れを汲んでの決断だ。
それでも、科学系の博物館の中には、先住民についての不正確な展示を続けているところがある。ニューヨークのアメリカ自然史博物館には、アメリカ先住民のレナペ族の代表団が、オランダの指導者ピーター・スタイブサントを歓迎する様子を描いたジオラマがあるが、同館はそれらを撤去せず、2018年、「過去の間違った見解を考慮する」として、解説に文章を追加した。
デンバー科学自然博物館の展示室閉鎖の決定は、デンバー・アメリカン・インディアン委員会と共同で行われた。同委員会のメンバー、ドナ・クリスジョンはAP通信の取材に対して、「私たちが何者であるかを正確に描写し、伝えられることが重要です」とコメントしている。(翻訳:編集部)
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