【訃報】ピカソの元愛人で画家のフランソワーズ・ジローが101歳で死去
6月6日、パブロ・ピカソの「ミューズ」だったことで知られる画家、フランソワーズ・ジローがニューヨークで亡くなったとニューヨーク・タイムズ紙が報じている。101歳だった。
ジローは1964年、ピカソと愛人関係だった10年間を綴った『ピカソとの日々』を出版し、注目を集めた。世間からはピカソとの関係について語られがちだが、彼女はピカソとともに精力的に制作活動し、ピカソの代理人、ダニエル・アンリ・カーンヴァイラーと契約していた時期もあった。
そしてここ数十年、アーティストとして再評価されている。2021年にサザビーズで開催された、女性アーティストの作品を集めたオークションで、ジローの《Paloma à la Guitare》(1965)は130万ドル(1億8000万円)で落札。彼女の最高額を記録している。
フランソワーズ・ジローは、1921年、フランス・ヌイイ=シュル=セーヌの中流階級の家庭に生まれた。香水工場を経営する父は、ジローに法律家になってほしいと願っていたが、祖母は彼女を画家になるよう育てた。そして1943年、21歳のジローは、パリのレストランで40歳年上のピカソと出会い、10年の愛人関係の中で2児をもうけた。
ピカソは写真家のドラ・マールなど、7人の女性と深い関係を持ったが、ジローは唯一、ピカソの元を自ら去った女性だった。
2022年、100歳を迎えたばかりのジローは、ニューヨークタイムズの取材に応じ、次のようにコメントしている。
「私は人生を迷宮のように捉えています。あなたは迷宮と戦う必要はありません。迷宮に誘われるままに進むと、また別の世界が見えてくるでしょう」(翻訳:編集部)
from ARTnews