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【訃報】ピカソの元愛人で画家のフランソワーズ・ジローが101歳で死去

6月6日、パブロ・ピカソの「ミューズ」だったことで知られる画家、フランソワーズ・ジローニューヨークで亡くなったとニューヨーク・タイムズ紙が報じている。101歳だった。

アトリエで製作中のフランソワーズ・ジロー。1982年撮影。Photo: PL Gould/Getty Images

ジローは1964年、ピカソと愛人関係だった10年間を綴った『ピカソとの日々』を出版し、注目を集めた。世間からはピカソとの関係について語られがちだが、彼女はピカソとともに精力的に制作活動し、ピカソの代理人、ダニエル・アンリ・カーンヴァイラーと契約していた時期もあった。

そしてここ数十年、アーティストとして再評価されている。2021年にサザビーズで開催された、女性アーティストの作品を集めたオークションで、ジローの《Paloma à la Guitare》(1965)は130万ドル(1億8000万円)で落札。彼女の最高額を記録している。

サザビーズのオークションで1億8000万円で落札された《Paloma à la Guitare》(1965)。Photo: John Phillips/Getty Images For Sotheby’s

フランソワーズ・ジローは、1921年、フランス・ヌイイ=シュル=セーヌの中流階級の家庭に生まれた。香水工場を経営する父は、ジローに法律家になってほしいと願っていたが、祖母は彼女を画家になるよう育てた。そして1943年、21歳のジローは、パリのレストランで40歳年上のピカソと出会い、10年の愛人関係の中で2児をもうけた。

ピカソは写真家のドラ・マールなど、7人の女性と深い関係を持ったが、ジローは唯一、ピカソの元を自ら去った女性だった。

2022年、100歳を迎えたばかりのジローは、ニューヨークタイムズの取材に応じ、次のようにコメントしている。

「私は人生を迷宮のように捉えています。あなたは迷宮と戦う必要はありません。迷宮に誘われるままに進むと、また別の世界が見えてくるでしょう」(翻訳:編集部)

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