環境活動家がモネの絵画に赤い塗料。「モネが描いた世界はすぐに遠い過去になる」
6月14日、スウェーデン・ストックホルムの国立美術館に展示されているモネの絵画に、2人の環境活動家が赤い塗料をぬりつけ、保護ガラスに手を接着させた。環境活動家がモネの絵画に赤い塗料。「モネが描いた世界はすぐに遠い過去になる」
現地時間の午後2時30分頃、エマとマジェという名札をつけた2人の女性は、ピンクと紫のアイリスが鮮やかなモネの《ジヴェルニーの画家の庭》(1900)に塗料をぬりつけた。この作品は、1983年にパリ・オルセー美術館から寄贈されたもので、国立美術館で開催中の「庭園-芸術と自然の6世紀」展で展示されていた。
2人の抗議者は、環境保護団体「Återställ Våtmarker(湿地を取り戻せ)」のロゴ入りTシャツを着ており、TwitterやFacebookで抗議活動の動画を公開した。また、AFPのインタビューで、「モネの絵のような美しい庭園はすぐに遠い思い出になってしまいます」と主張している。
Återställ Våtmarker広報担当のヘレン・ワルグレンはAFPに対し、次のようにコメントしている。
「気候変動による大災害で、すでに何百万人もの人々が亡くなっており、人間にとって深刻な危機が訪れています。スウェーデン政府は、気候に関する国際公約を守るためにもっと努力する必要があります。私たちは、二酸化炭素排出量を31%削減する必要があります。しかし、排出量は増えていて、それはとんでもないことです」
美術館の広報担当はCNNの取材に対し、「絵画には保護ガラスが付けられていましたが、現在、同館の保存修復師が損傷の有無を確認しているところです」と話す。
ストックホルム地方警察のプレスリリースによると、2人の女性は逮捕され、「重大な損害の疑い」で起訴された。そして、逮捕された2人以外にも事件に関与している人物がいるかどうか捜査中だという。
ストックホルム国立博物館での事件は、カナダ、アメリカ、ヨーロッパの博物館や美術館で相次いでいる気候変動に対する抗議行動に続くもので、いずれも政府による化石燃料産業に対する多額の補助金や、世界中で拡大する気候変動の影響に注意を向けることを目的としている。
国立博物館のペール・ヘドストロム管理官代理は、AFPの取材に対し、「文化遺産には大きな象徴的価値があります、目的の如何を問わず、攻撃したり破壊したりすることは許されません」と話している。(翻訳:編集部)
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