バンクシーがイギリスで14年ぶりの公式個展。門外不出のステンシルも初公開!
6月15日、イギリス・グラスゴーの現代美術館で、ストリートアーティスト、バンクシーの2009年以来となる公式展覧会が始まった。
グラスゴー現代美術館で8月28日まで開催されている、バンクシーの個展「CUT&RUN」では、これまで鍵をかけて保管していた、ステンシルと呼ばれる作品の型紙を初公開する。その理由について、バンクシーはヘラルド紙に次のように話す。
「私は、これらのステンシルが器物損壊罪の証拠として使用されるかもしれないと思い、何年も隠してきました。もうその時期は過ぎたようなので、今はアート作品としてギャラリーに展示します。どちらの罪が大きいかはわかりません」
展示品の中には、1998年の最初期のものや、2018年にサザビーズ・ロンドンで140万ドル(約1億5000万円)で落札された《少女と風船》(2006)を破砕するためにバンクシーが額に仕掛けた裁断機の模型もある。破砕によって《愛はごみ箱の中に》と改題された《少女と風船》は、2021年、2530万ドル(約28億8000万円)で落札され、バンクシーの最高額となった。そのほか展覧会では、彼のスタジオの再現や、実際に使っていたトイレなどの私物も展示される。
会場にグラスゴー現代美術館を選んだ理由について、バンクシーは、美術館の入り口に設置されたウェリントン公爵像の頭に、少なくとも40年間何者かが三角コーンをかぶせ続けていることが気に入ったとヘラルド紙に説明している。
美術館の入り口に貼られたバンクシーのメッセージが、この像の出来事をいかに評価しているかを物語っている。
「ようこそ。今日、あなたは傑作を目にすることになります。ご存じない方がいるかもしれませんが、正面の銅像は40数年間、ずっと三角コーンをかぶっています。議会や警察が取り除くたびに、また別のものが置かれるのです」
世界各地でバンクシーの非公認展が開催されているが、展示作品はほぼレプリカで、オリジナルはほとんどない。バンクシーは、「無許可のバンクシー展は、私のスタジオのごみに見せかけたものを展示しているが、『CUT&RUN』のものは本当に私のスタジオのごみです」と語っている。(翻訳:編集部)
from ARTnews