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20年間で数十億円相当を盗んだアート窃盗団が罪を認める。1人は逃走中

アメリカ・ペンシルベニア州で、20年以上にわたり地元の美術館に所蔵されているアンディ・ウォーホルのシルクスクリーンなど数十億円相当の盗みを働いた事件で、窃盗団9人が起訴され、3人が罪を認めた。

ペンシルベニア州中部地区連邦地方裁判所の外観。2020年11月3日撮影。Photo: AP/Aflo

6月30日付けの地元紙The Times-Tribuneによると、被告のうちラルフ・パリーとフランチェスコ・フランク・タシエロは、美術品の窃盗、隠匿と処分、盗品の州間輸送の共謀罪を認め、ダリル・リンカーは美術品の隠匿・廃棄および盗品の州間輸送の共謀罪を認めたという。

6月15日にペンシルベニア州中部地区連邦検事局が発表した情報によると、告発を受けた9人のうち、ニコラス・ドンベックを除く8人が当局に出頭している。窃盗団による犯行は20年以上にわたって行われており、6つの州で20施設が被害に遭った。

美術品の例では、2002年にペンシルベニア州のエバーハート美術館からアンディ・ウォーホルのシルクスクリーン《Le Grande Passion》(1984)とジャクソン・ポロック《Springs Winter》(1949)、2011年にニュージャージー州のリングウッド邸からジャスパー・クロプシーの絵画《Upper Hudson》が盗まれている。

被告たちはまた、ヨギ・ベラ博物館からワールドシリーズのリング9個など、総額100万ドル(現在のレートで1億4000万円)以上の展示品を盗んだとされている。そのほか国際ボクシング殿堂博物館からチャンピオンベルト6本、ゴルフと競馬のトロフィー30個以上、ティファニーのランプ、40万ドル(約6000万円)相当の金塊、合計100万ドル相当の銃器4丁などを盗んだ容疑もかけられている。

ウォーホルとポロックの作品は回収される可能性があるが、起訴状によると、ニコラス・ドンベックは、証拠隠滅のため、50万ドル(約7200万円)の価値があるジャスパー・クロプシーの《Upper Hudson》を焼却したという。

裁判記録によると、自白したリンカーは25万ドル(約3600万円)相当の1860年製ライフル銃を含む、盗んだ銃器数丁を買い戻しており、タシエロとパリーは運転手として犯罪に関与していただけだという。The Times-Tribune紙は、リンカーの弁護士クリス・カプートの話として「依頼人は非常に申し訳なく思っていると話しており、自分は主犯ではないと主張している」と伝えている。

AP通信によると、8人のうち、ほかの2人の被告は7月5日に司法審問、3人の被告は今年後半に裁判が予定されている。当局によると、ドンベックは現在も逃走中だ。(翻訳:編集部)

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