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桑田卓郎や田辺竹雲斎も参加! ロエベが24人のアーティストたちとランプのコレクションを発表

4月16日にミラノで始まった世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ国際家具見本市(ミラノサローネ)」(4月21日まで)で、ロエベは、日本人7人を含む24作家に依頼した「ランプ」のコレクションを発表した。

2024年ミラノサローネでの「ロエベ ランプ」展示風景

ロエベが「ミラノサローネ国際家具見本市(ミラノサローネ)」へ参加するのは8回目。これまで同ブランドは、スティックチェア、織物、籠編みをはじめとするさまざまなデザインタイポロジーとクラフトをテーマとした実験的な展示を通して、何世代にもわたって継承されるデザインとクラフトの知識を詳細に紹介してきた。同時に、ロエベが継続的に行っているクラフトへの支援と、長期的な視野でアーティストと協働する姿勢を表明してきた。

2024年のテーマは「ランプ」。4月15日からパラッツォ・チッテリオで開催されているロエベの展示「ロエベ ランプ」では、ロエベと長きにわたり関係を育んできた24人のアーティストたちが、ミラノサローネのために特別にデザインしたランプのコレクションを紹介している。

会場には、「光」を主な表現手段としてアーティスト24人がそれぞれの芸術的実践にもとづいて制作したフロアランプ、テーブルランプ、ペンダントランプなど、さまざまなランプが並ぶ。多くのアーティストにとってランプの制作は初めてだったが、それゆえに既成概念にとらわれることのない作品が誕生した。竹、樺の枝、馬の毛など用いられた素材も実に多様だ。紙にラッカー仕上げを施すことで透光性が付加されたもの、ガラスやレザー、セラミックの反射を生むものなど、さまざまな表現が試みられている。また、ライターや店先のシャッター、変形する微生物、ぶら下がったヒョウタンなど、自然や人工のさまざまな物体からインスピレーションを得た作品など、アーティストらしい豊かな発想が発揮されている。

石塚源太作品

日本からは浜名一憲、平井明子、桑田卓郎、松本破風、四代田辺竹雲斎、横山翔平、そして2019年のロエベ財団 クラフトプライズを受賞した漆作家の石塚源太が参加。石塚がデザインしたペンダント・ランプシェードには光沢のある漆が塗り重ねられており、表面の層を一部剥がして黄色の層をのぞかせることで、内側から発せられる柔らかな明かりが引き立つように工夫されている。

デーム・マグダレン・オドゥンド作品

ほかにも、2020年にポーラ美術館で個展を開催したケリス・ウィン・エヴァンスや、陶芸家のデーム・マグダレン・オドゥンドなど著名作家も名を連ねる。オドゥンドは、レザーを取り入れたペンダントランプを発表した。丸めて先端をとがらせた鞘状のレザーが中央の円柱から突き出すこのランプは、彼女の代表作である手で磨きをかけた丸い器をもとに制作している。

アルヴァロ・バーリントン作品

シャッターが下りた店先を彷彿させるノスタルジックなフロアランプは、アルヴァロ・バーリントンによるもの。アイコニックな戸口にまつわる彼の探求と、幼いころを過ごしたニューヨークの街並みの延長線上にある作品だ。同じくジジフォ・ポスワの作品も、南アフリカの東ケープ州で過ごした思い出と子どものころに見たコサ族の儀式から想起されたものだという。

展示風景。松本破風のデザインによるバッグ(写真左)とアン・ヴァン・ホーイが手掛けたボウル(同右)。

同展では、ロエベがアーティストとコラボレートしたプロダクトも発表された。竹工芸家の松本破風はロエベを代表するパズルバッグとハンモックバッグの再解釈を行ったほか、全く新しい形のホーボーバッグとポケットバッグをデザインした。同じく高い竹工芸の技術で知られ、2017年のロエベ財団 クラフトプライズのファイナリストでもある四代田辺竹雲斎は、竹を編む技術をカーフスキンレザーに応用したバスケットを発表。陶芸家のアン・ヴァン・ホーイはナバラムスキンの余剰材を利用してさまざまなボウルを作った。これらはパラッツォ・チッテリオとミラノにあるロエベのモンテ・ナポレオーネ店のみで販売を予定している。

全参加アーティスト:アルヴァロ・バーリントン(ベネズエラ)、ニコラス・バーン(英国)、エンリコ・ダヴィド(イタリア)、アンディレ・デャルバニ(南アフリカ)、エルンスト・ガンペール(ドイツ)、浜名一憲(日本)、アンセア・ハミルトン(英国)、平井明子(日本)、ジョー・ホーガン(アイルランド)、アン・ヴァン・ホーイ(ベルギー)、石塚源太(日本)、ダヘー・ジョン(大韓民国)、桑田卓郎(日本)、ジェニファー・リー(英国)、ヤンソン・リー(大韓民国)、アン・ロウ(カナダ)、松本破風(日本)、マグダレン・オドゥンド(ケニア)、ジジフォ・ポスワ(南アフリカ)、マガリ・レウス(オランダ)、四代田辺竹雲斎(日本)、アンドレア・ワルシュ(英国)、ケリス・ウィン・エヴァンス(英国)、横山翔平(日本) 

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