アフリカ美術部門の責任者に白人女性はNO? ニューオーリンズ美術館の人事に批判の集中砲火
アメリカのニューオーリンズ美術館(NOMA)は6月30日、アフリカ美術部門のキュレーターに白人女性であるアマンダ・M・メイプルズを抜擢したと発表。直後から、この役職になぜ黒人のキュレーターを起用しなかったのかを問う声が上がっている。
ニューオーリンズ美術館(NOMA)がプレスリリースとインスタグラムでアマンダ・M・メイプルズのアフリカ美術部門キュレーター就任を発表するや否や、同館インスタグラムのコメント欄は、この決定に対する不満の声で埋め尽くされた。
例えば@scorpiantayというユーザーは、こう指摘している。
「就任おめでとう!(今回の人選は)何の冒涜でもないし、リリースに書かれている彼女の経歴を読む限り、彼女はこの役職にふさわしい人物に思える。ただ、NOMAにはこのような取り組みを率いることができるアフリカ系や有色人種の人材はいないのだろうか? アフリカの歴史を紹介するなら、それをディレクションする立場にある人はせめて有色人種が務めるべきではないか。黒人やアフリカの経験に共感できる人物でなければ、この取り組み自体が非常に軽率で浅はかなものに思えてしまう」
こうした声に対してNOMAは、次のように弁解した。
「このポストの他の候補者を明かすことはできませんが、幅広い経験を持つメイプルズを選んだ重要な理由の一つに、彼女がこれまで、アフリカやその他地域のアーティストや団体と継続的な協力関係を構築してきたことが挙げられます。メイプルズの研究と活動の領域は、まさにNOMA が強化すべき分野と重なります。そこには、北米の美術館として今後どのようにアフリカ美術をコレクションし、展示していくべきかの再考も含まれます」
しかし、これが火に油を注いだのか、さらに何百もの否定的なコメントが寄せられた。しかしNOMAは、メイプルの経験及びアフリカの機関とのつながりを何度も強調するばかりで、肝心の雇用プロセスに関して触れることはなかった。
メイプルズはカリフォルニア大学サンタクルーズ校で視覚研究の博士号を取得しており、直近ではノースカロライナ美術館では世界的なアフリカ美術のキュレーターを務めた。彼女はまた、スタンフォード大学カンター芸術センターやイェール大学アートギャラリー、スミソニアン博物館国立アフリカ美術館、ハイデザート博物館、カリフォルニア大学バークレー校のハースト人類学博物館でも学芸員として活動した経歴を持つ。
メイプルズは今回のプレスリリースの中で、「アフリカ美術の豊かなストーリーを余すところなく伝えるため、ニューオーリンズ美術館の豊富なコレクションに存在する歴史的ギャップを埋めること、そして、今後NOMAとして、どんなふうにアフリカの現代アーティストの作品を紹介していくことができるかに注力していきたい」と抱負を語った。
NOMAによると、メイプルズは2025年にオープン予定の「新しいマスクは今:現代西アフリカでマスカレードを革新するアーティスト」を企画しているという。
from ARTnews