ARTnewsJAPAN

本音を診断! あなたは本当にビデオアートが好き?【認めたくない真実:アート業界のお悩み相談室】

ニューヨークを拠点とする敏腕アートコンサルタント、Chen & Lampert(チェン&ランパート)の2人による自己診断シリーズ。今回のテーマはビデオアートだ。

Illustration: Pamela Guest

TikTokやInstagram、YouTubeなど、世の中には動画コンテンツが溢れている。そんな中、大規模なビデオアート展を訪れたあなたは、作品を眺めながら、自分のいとこがTikTokでバズらせている動画よりも優れたものがここにあるのだろうか? と思うかもしれない。

あなたの映像作品への許容度はいかほどか。下の質問に答え、表に従って点数を集計してみよう。

1. 作品についての説明に「ビデオエッセイ」と書いてある。どう思う?
a)いいね! 字幕大好き
b)トイレに行く良いタイミングだ
c)やれやれ、勘弁してくれ

2. 壁一面にテレビのブラウン管を並べたナム・ジュン・パイクのインスタレーションを、どう感じる?
a)刺激が強すぎる
b)催眠状態に陥りそう
c)ビビンバが食べたくなる

3. 社会・政治運動に関するマルチチャンネルのビデオインスタレーションを見ると、何をしたくなる?
a)活動家としての血が騒ぐ
b)国境なき医師団に寄付したくなる
c)ミュージアムショップで美術館のロゴ入りウェアを買いたくなる

4. 監視社会をテーマにしたインスタレーションのモニターに映し出された自分の姿を見て、何を思う?
a)管理・統制のための目に見えない手段 
b)現代に生きる私たちに共通するプライバシーの欠如 
c)テレビ画面だと太って見える

5. 暗い部屋に映像が流れる没入型展示を見て感じるのは?
a)驚異の念 
b)疲労感 
c)劣情

6. 映像作品を途中から見るのは?
a)前戯を飛ばすようなもの
b)ハイになっていれば苦にならない
c)どうせ話の筋などないから構わない

7. 展覧会の最初の方に展示されている歴史的な作品は?
a)当時の機材の性能を考えると驚くほど複雑で凝った作りだ
b)低解像度で見辛いし音声も聞き取りにくい 
c)退屈にもほどがある

8. ライブ映像をその場で生成する大規模なAIインスタレーションは?
a)大きな技術的ブレークスルー
b)金持ち向けのスクリーンセーバー
c)404 Not Found

9. ヘッドホンをつけて見るビデオ作品は?
a)頭がかゆくなりそうなのでつけない
b)作品世界により没入できる 
c)ちょっと見ただけで次の展示室に移る

10. お気に入りのビデオアート作品は?
a)マーサ・ロスラーの《キッチンの記号論
b)バーナデット コーポレーションの《Hell Frozen Over
c)ゴードン・ラムゼイの《ヘルズ・キッチン〜地獄の厨房

採点とアドバイス

次の表で質問ごとの点数を集計し、あなたがどんなタイプかを見てみよう。

10-16点
このままカーダシアン家のセレブライフを追い続けよう。我慢しながらマイク・ケリーの気味の悪い映像作品を見たり、クシシュトフ・ヴォディチコ(Krzysztof Wodiczko)の名前をどうやって発音すべきかストレスを感じたりする必要はない。現代アートが嫌いでも、なんら問題はない。

17-23点
ビデオインスタレーションの前にベンチがあると嬉しくなるタイプ。それなりに面白く、好きなときに立ち去れるのであれば、そこまで内容は気にしない。

24-30点
ビデオゲームとユーチューブで育ったあなたこそ、バックミンスター・フラー(*1)やマーシャル・マクルーハン(*2)など、ポルノハブ(Pornhub)が登場するまで長生きできなかったオタクの先人たちが思い描いていた未来の市民だ。(翻訳:野澤朋代)


*1 正二十面体でできたジオデシック・ドーム(フラー・ドーム)で知られる建築家。人類と地球との調和を重んじる「宇宙船地球号」という概念を唱えた思想家でもある。
*2 「メディア」から社会の根底にある原理を読み解いた文明批評家。代表作に1964年に刊行された『メディア論──人間の拡張の諸相』。

from ARTnews

あわせて読みたい